映画 キミにきめた!レビュー
by IGN JAPAN
IGNによる映画『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』のレビューが掲載された。
※物語の核心に触れるようなネタバレは一切含まれていません。
■今は大人になってしまった「僕ら」のための映画ー
子供の頃はポケモンが大好きで、今は大人になってしまった「僕ら」のための映画だ。僕は本作を観て、ポケモンというコンセプトや世界観の素晴らしさを再発見したような気持ちでいる。だが、これは今の子供たちに観てほしい映画でもある。アニメ「ポケットモンスター」無印編が放送される後に生まれた彼らにもサトシとピカチュウの出会いとその壮大な冒険の始まりを知ってもらいたい。
■「ポケモン」というコンセプトの魅力を見事に捉えた映画
「キミに決めた!」は全編を通して、神秘的な森から岩山まで、見事な自然風景画で僕を満たした。だが、もちろんそれだけではポケモンの映画である必要はない。これらの風景を彩るポケモンたちこそが主役である。木の上を這うビードル、地上に顔を出すディグダ、群れをなすオニスズメなど、ストーリーとは無関係のところで丁寧に描写されたポケモンの生活がこの世界に説得力を与えていく。架空の生き物たちが生息する自然豊かな世界。ポケモンを研究し、集め、戦わせる人間。ポケモンと人間の絆をもしっかりと描いた「キミにきめた!」は「ポケモン」というコンセプトの魅力を見事に捉えた映画と言える。
■眩しいまでに純粋なサトシの生き様
友だちの大切さや挑戦する精神といった王道のテーマを取り上げる本作は大人にとっていささか教訓臭すぎると思われるのかもしれない。だが、眩しいまでに純粋なサトシの生き様には筆者のようにひねくれた30才をも感動させるチカラがあった。サトシが様々なポケモンや人間と出会い、みんなが一緒に成長する物語は少し単純だが、出会いと別れは見事に描かれている。
■終盤のアクションシーンについて
個人的に残念に思えたのは、終盤に集結するアクションシーンだ。僕は派手な戦いよりも、「キミにきめた!」のセンチメンタルな一面に興味を持った。だが、こういう手のアニメ映画は必ず最後にバトルがあり、それはとにかく派手なものでなければならないらしい。他にもストーリー上で気になるところもないわけではないが、映像美から感動的な場面まで、魅力のつまった作品であることは間違いない。
いくつもの出会いと別れに彩られたサトシの旅はまさに王道もの。道中で目にするポケモンたちの日常がその世界やストーリーに説得力をもたせ、ひねくれた大人たちをも納得させるだろう。
ネタバレを避けているために抽象的ではあるが作品のもつ雰囲気や空気感などが伝わってくるレビューだ。ただ、ひねくれた大人たちを納得させることができるかどうかに、(第1・2世代以降の要素を取り入れてしまった)本作自体のもつパワーはもはや意味を成していないような気もする。ネット上に散見される、ただの懐古となり果てた一部の大人たちは、作品を見る前から否定を前面に押し出している。タケシやカスミなど無印編で親しみのあるメンバーがいないこと、あるいは成り代わるような形で新キャラが登場することに対する違和感には多少なり同意できるが、それを批判に直結してしまうのは『愚か』としか言いようがない。
明日楽しみだす
センチメンタルぅ!
たしかに懐古の執着心も『愚か』だが。
映画でパラレル設定いれて批判喰らう…という定番の流れを今更引き起こしやがった脚本側も愚かだよ。