ガラル地方に生息するサニーゴたちは、悲痛なメッセージ性を有している。
サニーゴの死後白化現象は、なぜ起きたのか
『ポケットモンスター ソード・シールド』において、サニーゴたちは本来の可愛らしいピンク色の姿ではなく、ガラル特有の新たなリージョンフォームとして私たちの前に姿を現す。その白い姿は、ガラル地方や私たちの住む現実世界の環境問題への警告としての強いメッセージ性を含んでいるのではないだろうか。
極めて繊細な水中生態
第2世代(ポケットモンスター 金・銀)のリリース以降、サニーゴは愛らしいピンク色の姿で私たちの心に癒しを与えてくれた。作中においても、サンゴの枝は宝物として人気が高く、綺麗なものは安産のお守りにされるなど非常に愛されているポケモンであることが分かる。
しかしながら、作中のポケモン図鑑の記述によれば、水質汚染や海水温の変化に敏感で、綺麗で適温の海でなければ生きていけないポケモンであることが、シリーズを超えて何度も警告されてきた。(※現実世界においても、地球温暖化に伴う海水温上昇をはじめとして、低水温や紫外線など様々な環境ストレスによりサンゴの白化現象が増大していることが問題になっている。)
サニーゴの生態に関する記述
過去のシリーズを通じて分かる限りのサニーゴの生態を以下に記す。
- サンゴの枝は綺麗な水の養分を取り込み育つ。
- 水質が汚染されるとサンゴの枝は色がくすみボロボロになる。
- 暖かい海に生息し、水温が下がると南へ移動する。
- 汚れた海には進入しない。汚れた海では生きられない。
- アローラ地方の栄養豊富な海に生息するサニーゴは色が鮮やかで濃い。
- 太古はガラル近海にも数多く生息していた。
課せられた過酷な運命
『ポケットモンスター ソード・シールド』に登場するガラルサニーゴたちは、ガラル地方の大きな環境変動の影響に抗うことができず、結果としてゴーストタイプに変化し種を存続させた。ガラルサニーゴたちの壮絶で過酷な運命を想像させるには十分すぎるほどに本来の姿と乖離した陰鬱な姿で描かれており、上述した生物としての特徴を考量すれば、ガラルサニーゴが非常に悲しい背景を持つポケモンであることは明白である。
歴史の考察 – 隕石落下に起因する急激な環境変化
太古の昔、ガラル近海に生息していたサニーゴたちは、近郊に落下した隕石の影響で絶滅したとされている。恐らく隕石は、陸地か水位の浅いポイントに落下したと推測され、衝突時に舞い上がった粉塵により太陽光が遮断された結果、急激な気温の低下を招き、更には、海水温の低下、粉塵による水質の汚染が同時に進行したものと考えられる。
サニーゴ達はあまりにも急激な環境の変化ゆえに危険水域を脱出する間もなく息絶え絶滅したか、或いは脱出を試みた個体も、衝突の衝撃から生じる地形の変化などにより脱出できなかったものと考えるのが妥当だ。
それから長い年月を経て、ガラル近海に散乱するサニーゴたちの亡骸に魂が宿り、ゴーストタイプとなって姿を現すようになったのだろう。ガラルサニーゴがかつて海だった場所で転がっているのが頻繁に目撃されるのも、そういった背景があったからだ。
接触した人の体に潜り込んで生気を吸ったり、石ころと間違えて蹴られると祟ったり、とにかく全体的に不気味な存在としてデザインされており、制作側がガラルサニーゴに込めた強いメッセージ性を感じずにはいられない。