凸凹バディ
寄稿者:ひなこ さん(女性・ホウエン地方コトキタウン)
息子の一歳の誕生日、私達夫婦が息子に送ったプレゼントはポケモンの友達でした。その子はイーブイ。知人から、息子と同じ日に生まれたと聞き譲り受けた子です。
息子とイーブイはいつも一緒でした。遊ぶ時も寝る時も、それこそまるで双子のように共に育った二人。ただ性格だけは正反対でした。息子は猪突猛進ですぐ熱くなるところがあります。対してイーブイは大人しくて穏やか、とても慎重な面がありました。
少し大きくなって、ポケモンバトルに興味を持った息子はイーブイと特訓に励んでいました。闘争心にかけているイーブイに、息子はイライラすることもあったようです。イーブイはイーブイで、すぐに危ないことをしようとする息子にいつもハラハラしていたように思います。味の好みも正反対、息子は甘党ですがイーブイは苦みがあるものが好みです。
◇
そんな凸凹の息子とイーブイも、旅立つ時が来ました。最強のポケモントレーナーになると言って飛び出していった息子。バトルが苦手なイーブイ。私達にとっては二人とも大切な子ども達ですから、もちろん心配です。それでも、二人が一緒なら大丈夫だと信じていました。全く連絡を寄こさなくても、便りがないことは元気な証です。
◇
彼らが旅立ってから、どのくらい経ったでしょうか。ある日突然、ピロンという電子音とともにメールが届いたのです。息子からでした。そのメールには、お互い満面の笑みで肩を寄せ合う、肌が焼けてたくましく見える息子と、凛々しく成長したエーフィの姿がありました。
エーフィの胸には、緑色のコンテストリボンが誇らしげに輝いています。この写真を見て、一目でわかりました。彼らは、お互いを想い合い、自分達の道を見つけたのだと。子ども達の成長に目がしらが熱くなりました。するとまたしてもピロンという電子音。そこには「来週、帰る」の文字が。あまりにも突然の帰宅宣言に、自然と笑みがこぼれます。聞きたいことはたくさんありますが、ぐっと堪えて、私はメールを返しました。
「おめでとう。プリンとズリの実をたくさん用意しておきます」
息子からの返信はありませんでしたが、きっとエーフィと二人、顔を見合わせ笑っていたことに違いありません。