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食いしん坊な君と私

ポケモンショートストーリーズ #12(ゴンべ)

by guest writer
2020年12月4日
in ストーリー
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「ポケモンショートストーリーズ」では、全国各地のポケモントレーナーの皆様から寄せられた体験談を掲載しています。

食いしん坊な君と私

ミコト(15歳 女性・シンオウ地方)

私の住むシンオウ地方は、とても気象の変化の激しいところ。晴れているかと思えば霧が立ち込めたり、雪や火山灰なども降ってくるようなところで、決して穏やかな所とは言えないところで私は育った。

◇

~10年前~

「いってきまーす!」

「あ!ミコト!待ちなさい!今日は午後霧が発生する予定だから山はだめよ!あぶないからねっ!」

お母さんがそういってきたけど、私は「うーん、、わかったぁ!」と能天気に答え家を出た。そして、言いつけを守らずに山へと向かった。

私だけの秘密の山の上。景色を見ながらお母さんの作ってくれたサンドイッチを食べに行くのだ!

昔から活発で暇さえあれば山に入って野生のポケモンと遊んで過ごしてきた私には、山は庭みたいなものだったし、これまでに山に入って悪いことに遭遇した事がなかった為あまり危機感を感じずにいた。しばらく歩き、険しい山道を抜けて秘密の場所についた。

「お母さんの嘘つきー!こんなに綺麗な景色で霧なんてでないよっ!」

そういって横にサンドイッチの入った袋を置いて、横になって少し休むことにした。5才にとってこの山道を登るのは楽ではない。気がつくと少しうたた寝をしてしまっていた。

◇

寝返りをした時、何かにぶつかり目が覚めた。
目の前には大きく黒い塊。
グゴーグゴーと鳴いている。

「?!」

びっくりして起きたけど、それがポケモンと私はすぐに気がついた。

ゴンベだった。

静かに起き上がり、起こさないように紙袋を持って離れようとした時、紙袋が空になっているのに気がついた時には、私は大きな声で叫んでしまっていた。

「ちょっとぉぉぉぉ!!!!私のサンドイッチどこ?!あ!!!貴方食べたのね!!!起きなさいよっ!!!!」

怖いとかそういうのよりも先に、食べられた悔しさから私はその寝ていたゴンベをポカッと叩いてしまった。

「ンゴっ?!」

飛び起きたゴンベが私を見つめる。我に返った私は”しまった!”と縮こまってしまった。

が、ゴンベは何事もなかったようにまた眠り出した。そして、何もしてこないその子にホッとしてようやく状況を理解した。周りが霧だらけになっていたのだ。来た道も見えない周りには誰もいない。

私とゴンベだけ。

「どうしようっ!お母さんのゆった通りになった、、!帰り道がわからないよー、、、」

冷静になって、お腹も空いて、霧にも囲まれて悲しくなった私は泣き出してしまった。そして、その声に寝ていたゴンベが目を覚ました。

足元に転がる空っぽの紙袋
泣いてる女の子

ゴンベなりに状況が状況な為、自分のせいだと思ったのだろう

「ゴンベッ!!ゴンベッ!!!」

慌てて駆け寄ってくるゴンべ。それでも泣き止まない私に、ゴンベは何かを思いつき霧の山へと入っていった。ゴンベまでいなくなって、私は更に寂しく怖くなり泣き出した。

しばらくして、泣いている私の前にモモンの実が差し出された。
モモンの実を持ったゴンベがいたのだ。

「グスッ…グスッ…くれ、るの?」

笑顔のゴンベ。

「あり、がとう、、」

モモンの実を食べはじめると、ゴンベは持ってきた残りの実を全部自分で食べてしまった。

その様子がなんとも面白くて…

「私のサンドイッチも食べたのにまだ食べ足りないの?食いしん坊なんだねっ!」

思わず笑顔がこぼれた。

その後もゴンベはずっと傍にいてくれて、霧がはれて山を一緒に降りてくれた。

お母さんには遅くなったのと、その後連れて帰ったゴンベが家の食材を食べてしまって、こっぴどく怒られてしまったけど、今や彼はカビゴンとなり私の大事な大事なパートナーになった。

あの時、君が霧の中から戻ってきてくれなかったら、私は帰れなかったかもしれない。

ありがとうね…
これからもよろしくねっ!

これが、君と私との出会い。

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