ポケモンと人間の境界線
私はポメ。10歳。最近思うことがあるの。
みんなは毛が体中にあって爪も鋭くとがっているのに明らかに私だけ違う。
今日こそは狩りに連れて行ってもらいたいのに。
きっと今日もお父さんがダメっていうわ。
◇
やっぱりお父さん、お母さん、弟達だけで狩りに行った。私は連れて行ってもらったことがないから、どこに行っているのかすら知らない。私も外の世界を見てみたい。そうだ、みんなが戻ってくる前に先に戻ってくればいいのよ。
ポメ「さっ、お弁当を持って、村のある方へ行ってみましょう!!」
ここから村までは船に乗り川をわたり、森を抜ければ着くはず。
家を出て歩いているとすぐに船に乗る場所が見えてきた。あれ?おかしいな、船なんてない。お母さんがいつも船に乗って渡るって言っていたのに…。ないなら、泳いで渡るしかない!どうしても外の世界に行ってみたいの。
バシャーン
勢い良く飛び込んだ。
でも川の流れは見た目より早く、私はうまく泳ぐことができなかった。
ポメ「きゃぁぁぁぁ」
必死にもがいているのに、川の水が休むことなく私を襲う。
だんだんと意識が遠のいていく…
◇
目が覚めると何やらふかふかした敷物に眠っていた。
女「お目覚めですか?」
えっ?何言ってんだろう?
この生き物は何?
お父さんとお母さんは?
女「今、ご主人様をお呼びしますね」
ここから逃げようとして立ち上がると足に激痛が走った。
男「まだ動けん。酷い捻挫をしておる。名は?」
ポメ「******」何言ってるの?
男「言葉を知らんのか?」
ポメ「******」あなたは誰?
女「ご主人様この言葉は、ポケモンの言葉ではありませんか?」
男「まさか…この子は、ポケモンに育てられたと…」
なんでじろじろ私を見るの?
ポメ「******」早く家に帰して!!!
男「怒っておる…腹が減ったのかも知らん。飯を持ってこさせろ」
女「はい。承知しました。」
ポメの目の前に出されたものは、白米とみそ汁と漬物だったが、ポメにとってはどれもが初めて見るもので、もちろん箸の使い方なんて知らない。
なにこれ…見たことない。
食べれるのかな?でもいい匂いでおいしそう。
手に取ってみると熱々でべたべたで、でもキラキラしていて口に入れると甘くてふっくら。
なんておいしい食べ物なの!?
男「ニャース出てこい。」
にゃ「どうしたにゃ。その子は誰にゃ?」
男「ポケモン語で話す少女だ」
にゃ「呼んだということは、話せって事かにゃ?」
男「そうだ」
にゃ「*****」お前名前は?
ポメ「*****」やっと言葉が通じる人が来た!私ポメ。ウーラオスなの。お父さんとお母さんがきっと探しているから帰りたいの。
にゃ「名前はポメ。自分はウーラオスだと言っているにゃ」
男「ウーラオス!?なら、この子はウーラオスに育てられたのか…」
女 男「………。」
にゃ「*****」その足では帰れん。治るまでここにいろ。
◇
男「まさか、人間に捨てられてってことか?」
女「そのように思います」
にゃ「にゃんとむごいことをするにゃ」
ポメ「*****」おはようございます。私寝てました。
男 女 にゃ「!!」
男「ポケモンに育てられたのは間違いないようだ。まったく気配を感じなかった」
女「お召し物を用意いたします。」
ガブっ!
ポメは女の腕に嚙みついた。
女「痛っ!」
にゃ「*****」着替えさせようとしただけだ。警戒するな。お前に大事な話がある。
男「大丈夫か?」
女「私がいけないのです。むやみに手を出してしまったのですから。」
男「ニャース、私が話していることをポメに伝えろ。一回しか聞かん。お前はウーラオスではなく、人間だ。それを知ってもお前は父と母の元に帰りたいか?」
にゃ「*****」
…私が…人間。
なにかが違うと思っていたけど、まさか人間だなんて…。
ポメ「*****」少し考えさせてください。
にゃ「考えるとにゃ。そりゃそうだにゃ」
▽次ページへつづく