かつては漢方薬の材料として珍重されたオドシシの角。今でも使われている場面もあるそうだが、ポケモン向けの漢方薬の場合が多く、人間への効能はあまり知られていない。
睡眠薬、ということだが、本当にそうなのだろうか。
1.まず角を採取
かつては角のために乱獲にあった為、オドシシの生息数は極端に少ない。ジョウトの一部地域、シンオウではポケモントレーサー(通称ポケトレ)が必要、ホウエンやイッシュでは様々な技を駆使しなければ生息地に行けない、他の地方では存在すら確認されていないと来た。
…という訳で私はジョウトにやってきた。
36番道路、あるいは37番道路に生息しているらしい。オドシシはああ見えてノーマルタイプのポケモンである。私の愛しのパートナー達(ゴーストタイプ)では少し分が悪いので、私自身で捕まえに行くこととする。立ち並ぶ木の間から様子を窺い、オドシシが現れるのを待つ。
現れたら奇襲あるのみ。躊躇した時点で負けだ。
突撃、特攻、ボールを投げ、
…気付かれた。
突進、角が刺さる、頭がグワングワン…
2.なんとか角を採取
さすがに死を覚悟したが、響いた金属音で我に返った。
目の前には舵輪と錨……ダ、ダダリンだ。
さすがのオドシシとはいえ、目の前に突然3.9mの藻屑が現れたら尻尾巻いて逃げるしかない。ダダリンの足(?)元には折れたのか取れたのか、オドシシの角が落ちている。ありがとう愛しのダダリン。何故ボールから出てきたかは分からないけれども。
3.その効能
イレギュラーなことはあったものの、角を観察していく。
ヒトの目を思わせるような造形と、ゴツゴツしたその手触り。特筆するならやはりその中央にある玉だろうか。これを粉にして飲むと快適な睡眠を得られると云われている。
が、まずは角本体の方を齧ってみる。……固くて味気ない。そして何やら心が穏やかに揺らいでくる。例えるなら、他の世界に連れて行かれるような心地よさ……
…いかん。催眠術である。
角を齧るのはやめて、黒い玉を採取する。粉にする手間が惜しいので、そのまま口に運ぶ。
恐ろしく苦い…かと思いきや、まったりして気分が良くなり、時間感覚が消えていく。未知の体験だ…ピッピに月に連れて行かれたらこんな感じだろうか。まさか永遠の眠りということはあるまいな…?
頭がフワフワし、意識が溶けていく――
4.覚醒
目を開けると、ダダリンが心配そうな顔を…いや、顔何処だ。ダダリン。
全身が痛い上に、背中には地面の感触。木の多さから考えるに、ここは37番道路。なるほど…オドシシにやられて気絶していたらしい。だとするならあれは…?
と思ったが、ダダリンの足元には角は無い。
…一体どこからが夢で、どこからが現なのか。
もしや、これこそが、オドシシの角の…?
……興味はあるが、もうやらない。オドシシの角は、ヒトを壊す。
(デスカーン編集部/ヨモヤマ)
じいちゃんもオドシシのツノに取り憑かれていました。
ダダリンも記者さんを守りたい一心でボールから飛び出す事が出来たのでしょうね。
オドシシの角の効能は分からず仕舞いですが、知らない方が良い事だったのかもしれません。
記者さんが無事で何よりでした。