なぜポケモンを父親に設定?ポケモン映画『ココ』矢嶋哲生監督が明かす制作裏話
ポケモン映画シリーズ第23弾『劇場版ポケットモンスター ココ』(12月25日公開)のテーマは“親子”。本作の監督を務めた矢嶋哲生が、ポケモンを“父親”と設定した理由や、制作の裏側について語った。
自身の育児経験が作品のテーマにつながった
ジャングルの奥地にあるポケモンたちの楽園・オコヤの森を舞台に、幻のポケモン・ザルードと、ザルードが育てた人間の少年・ココの物語が展開される本作。ポケモンと人間の“親子”というテーマは、矢嶋監督自身が提案したものだ。このテーマを選んだきっかけは、監督自身の育児経験にあった。
「5歳の息子と2歳の娘がいるんですが、二人が生まれて僕の人生観が変わったというか、二人にすごくいい方向で影響を受けたんです。なので、映画をやらないかと言われて僕に伝えられることを考えた時、そういうテーマにできたら一番いいのかなと思いました」
冒頭では、ココを拾ったザルードが慣れない育児に奮闘するシーンが展開し、グッと観客を物語の世界へと引き込んでいく。ジャングルで暮らすなか、ザルードがココに家を燃やされてしまうシーンも登場するが、矢嶋監督は「僕は寝て起きたらベッドがのりたまだらけだったんですよ(笑)そういうことっていろんな親御さんに共感してもらえるかなって思って」と笑顔で振り返る。「少なからずとも絶対に皆さんそういう経験があると思うんですよね。例えば、油性マジックで壁に絵を描かれたとか。そういうところから一気に作品に共感してもらえたらいいかなと思って、ああいうシーンを作りました」
ザルードを“父親”という設定にしたのも、監督自身の思いや体験をより物語に乗せやすくするためだったという。「やっぱり僕目線で書いていたので、母親というよりかは父親がどう思うのかみたいなところに乗せて書いたほうが、視聴者にもダイレクトに伝わるかなと思ってお父さんにしました。あと、そもそも男親ってある日突然親になるみたいなところがあるので、ココを拾うということがそれを(観客も)一緒に共有できるシチュエーションなのかなぁという思いがありました」