ラストのキスシーンについて
本作のヒロインは誰か
そもそも映画『 劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス 』という作品におけるヒロインは一体誰なのかという点について明確にすべきだろう。見た方なら頷いていただけるかと思うが本作におけるヒロインは間違いなく「ラティアス」である。ストーリー全体で考えてみても重要なシーンでスポットが当てられるのはやはり「ラティアス」であり、サトシとラティアスの微笑ましい触れ合いは印象に残っている人も多いだろう。なによりラティアスはサトシのことが大好きだ。
一方のカノンは、そもそもサトシとの交流がそこまで描かれているわけでもなければ、彼女がサトシに好意を抱くような場面もきっかけもない。ましてやキスなんて…、と、これだけは絶対に確定してはならない。これを確定してしまうことは本作の魅力の1つを欠如させることに他ならないからだ。
判断材料
1.帽子
作品内で、少女カノンとポケモン「ラティアス」を見分ける点として帽子がある。カノンはいつも帽子を身に着けているし、ラティアスは帽子を身に着けていない。
2.言葉
カノンは人間なのでもちろん言葉を喋るが、ラティアスは喋ることができない。ポケモンの中には喋ることができるポケモンも一定数いるが、ラティアスとラティオスは該当しない。
3.体温
作品内に登場した悪役リオンによると、人間とポケモンとでは体温が違う為、見分けることが可能。彼女はサーモグラフィーのようなもので、ラティアスと人間を見分けていた。映像から判断すると、ラティアスは人間より体温がとても低そうだ。
無言の理由
ラストのキスシーンでカノン(or ラティアス)はサトシの頬にキスをするわけだが、その際に彼女は言葉を話さない。無言で目を合わせ頷くだけだ。キスの前、絵を渡す際にもやはり言葉を発することはない。さて、ではなぜ無言なのか。これについては物語の都合やラティアスの都合というよりも、作者側の都合であるといったほうが的確だろう。上述したようにキスシーンの曖昧さは本作における魅力の1つであるといっていい。この魅力を生み出すためには必要不可欠な演出なのである。
変身の理由
もし仮にラティアスだとして、なぜラティアスは人間の少女カノンに変身する必要があったのか。これも上記の理由と同じで、曖昧さを生み出すための演出でしかないと考えるのが妥当だろう。ただ、ひとつ言えることは、そのままの姿でサトシに抱きついていたとしても、心苦しさを感じるだろう。
キスという行為
前提としてキスというのは、人間がお互いの恋愛感情を確かめ合う為の行為である。ポケモンという生物の間でそのような行為が行われているのかは定かではないが、あまり想定しにくい。
1.カノン
これは上述した内容と被ってしまうが、そもそも彼女がサトシにキスをする理由がない。人間におけるキスとは相手への好意を示すものだ。国によってはあいさつ的な意味合いを持つこともあるが、ポケモンの世界観でキスの安売りなんてしないだろう。なによりカノンがキスをしたと考えると、それはそれで素晴らしいかもしれないが、物語的な感動や情緒は一切感じられない。
2.ラティアス
客観的にみてキスという行為に至るまでの理由として説得力のあるシーンは十分に描かれている。ただし、キスという行為を知っているのかという疑問は付いてまわる。これは極論というか夢見がちな少年の思考だが、『芽生えた』のである。その瞬間に生まれたのだ。自らも知らない愛情表現がその瞬間に溢れ出たのだ。これを書いている今、胸が締め付けられて死んでしまいそうだ。
絵について
キスの前に少女から手渡される絵。これに関しては本物のカノンが描いたものだ。ラティアスが絵を描けるなんてことはさすがにないだろう。仮にキスをしたのがラティアスだとするなら、本物のカノンはなぜ直接渡さなかったのかという疑問が生じるが、いくつかの解釈は可能だ。
結論
何度も述べたが、結局どちらの可能性もあるし、それこそが制作側の狙いなので、この議論に終着点が見えることは今後もないし、真実が語られる可能性も限りなく0%に近い。
- 映画の初期段階(公開前)においては、カノンはより見せ場が多く作られており、公開バージョンにおけるラティアスの活躍シーンがもとはカノンであったシーンが存在する。
- カノンの声優である折笠富美子は、ポケットモンスター X・Yに登場するチャンピオン カルネの声優でもある。また、ポケモンジェネレーションズにてピカチュウを演じている。
- 英語名のBiancaは、ポケットモンスター ブラック・ホワイトに登場するベルの英語名と同じである。
各国での表記
日本 |
カノン |
英語 |
Bianca |
フランス |
Bianca |
ドイツ |
Bianca |
イタリア |
Bianca |
スペイン |
Bianca |
韓国 |
캐논 |
中国 |
卡儂 |
ラティアスへの好き好きオーラがにじみ出てて気持ち悪いな…w
でも実際ラティアス派のほうが多い印象ある
Amazon primeで見かけて、小学生の頃の私を魅了したあのシーン思い出し久しぶりに見てみました。
私もラティアスだと思います、
カノンなら帽子を被るから、キスをしたのはラティアス説、有力だと思います。
あとは、絵を描くのがカノンだけだと断言できませんしね。
そもそも、ラティアスがカノンの姿になるメリットは、人間の指が使えるからかなと思いました。
絵を描くために人(カノン)の姿になっていたのであれば、最後部屋でカノンの絵の具を借りてサトシの絵を描いていたのかな?とか考えられませんか?
いずれにせよ、とても良い映画ですね…
興行収入は伸びなかったようで、もうこのようなテイストの映画は作られないかと思いますが…
私娘さん