『ポケットモンスター ブラック』とは、かつて海外市場にごく少数が流通していたとされるゲームボーイ専用のカートリッジソフトである。シリーズ第5世代『ポケットモンスター ブラック』とは全く関係がない。
目次
ポケットモンスター ブラック(Pokémon Black)
概要
『ポケモン ブラック』はかつて海外マーケットにおいて存在が確認されたゲームボーイ専用のソフトであり、シリーズの第1作『ポケットモンスター 赤・緑』を改造したものであるとされている。海外にて一部のユーザーが本ソフトの存在について言及したものの、そのスクリーンショットや実機での動作が確認された例があまりにも少なかったために、都市伝説として広がったと推測される。
※以下の情報は、海外ユーザーの証言を基に掲載しています。
ゲーム内容
イントロ~タイトル画面~導入
本作では『ポケットモンスター 赤・緑』と同様に、ゲンガーとニドリーノの対決シーンからゲームが始まる。ブラックのタイトル画面では、赤緑のように主人公横のポケモンがスクロールしない。ポケモンロゴの下には「ブラックバージョン」と表示がある。ゲームを始めると、オーキド博士のポケモンに関する話が始まり、このソフトが「ポケットモンスター 赤」の改造ソフトであることが分かる。
ghost(ゆうれい)
最初の3匹(ヒトカゲ、ゼニガメ、リザードン)から1匹を選んだ後、手持ちポケモンを見ると、選択したポケモンの他に、ghost がいる。
この ghost はレベル1で、外見的には、シルフスコープ入手前にシオンタウンのポケモンタワーでエンカウントする ghost(日本版では”ゆうれい”)のグラフィックが利用されている。また、攻撃技として“Curse”(のろい)を覚えている。
バトル|技「のろい」の恐怖
バトルでは、ghostに敵対した相手ポケモンは行動ができなくなるという。それは恐怖で身動きがとれなくなったという解釈で間違いないだろう。
わざ「のろい」を発動すると、画面が暗転し相手側のポケモンの鳴き声が聞こえる。その声は通常よりも低く歪んだ音で再生される。そして、画面が暗転から復帰すると相手ポケモンは消滅している。
トレーナーとの戦闘で「のろい」を利用してポケモンを倒すと、相手の手持ちポケモンの数を表す横に並んだモンスターボール表示からボールごと1つ消えてしまう(通常はバツ印が付くだけである)。そのポケモンは呪い殺されてしまった、ということなのだろうか。
「のろい」は簡単にバトルに勝利できるバランスブレイカーであり、本作を幼少期に所持していたと語るプレイヤーの中には、ブラックをほぼ「のろい」だけで全クリしたという声もあった。
トレーナーを呪う
トレーナーバトルに勝利し報酬を受け取った後、バトルコマンドが再度表示される。ここで「にげる」を選択すると通常通りバトルが終了するが、「のろい」を選択すると、マップに戻ったあと相手トレーナーの姿が消えてしまう。そのまま一度そのエリアを出てから再度そのエリアを訪れると、トレーナーがいた場所には墓石が立っているという。
殿堂入り後
本編クリア後、ゲームの内容は大きく変化する。殿堂入り後、画面が暗転し、“Many years later…”(何年も経ち) と表示される。そして場所がシオンタウンに切り替わり、ある老人が墓石を眺めている様子が映し出される。この老人は実は主人公の未来の姿であり、墓石はかつて呪い殺したトレーナーたちのものであった。プレイヤーはこの老人を操作することができるのだが、マップのどこに移動しても、シオンタウンのBGMが無限ループで流れ続けるという。また、この世界には人がおらず、手持ちにはポケモンも ghost もいなくなっている。
「ディグダの穴 」を抜けてマサラタウンに戻り、自宅に入ると画面が暗転する。そして、いくつかのポケモンやトレーナーの姿が連続で表示される。それはプレイヤーが呪ってきた存在であった。この間、シオンタウンのBGMは徐々に小さくなり、最終的には悪魔のような悍ましい低音へと変わっていく。
ラストバトル|VS ghost
再び暗転し、バトル画面へと突入する。プレイヤー側のグラフィックは、ゲーム序盤にトキワシティでポケモンの捕まえ方を教えてくれる老人と同一のものが使用されている。相手側には“GHOST wants to fight!”の文字と共に、ghost が現れる。
プレイヤーはポケモンを出せずアイテムも使えないため、「たたかう」が唯一の選択肢となる。「たたかう」を選択すると「わるあがき」が発動し、相手にダメージは与えられないが自分のHPは削られていく。ghost のターンでは “…” と表示され何も行動をしてこないが、「わるあがき」を繰り返しHPが一定まで減ると、ghost は最後に「のろい」を使用し画面が暗転する。
無限の闇 ~ データ消去
「のろい」後の暗転はどんな操作をしても復帰できない。老人(主人公)は多くの命を奪った代償として、永遠に闇の中に囚われてしまったということだろうか。この暗転から復帰するには、ゲームボーイ自体の電源を一度オフにし再起動するしかないわけだが、起動後タイトル画面には”NEW GAME “しかなく、データが消去されていることが分かる。
その他、検証
「のろい」を使わない
何度もブラックをクリアしたという海外ユーザーによれば、ghostをパーティから外すことはできないものの、ghost及び「のろい」を使わずにクリアすることはできるという。この場合、自宅での暗転後、呪ったポケモンやトレーナーの姿は表示されず、ghost とのラストバトルもカットされる。
作者の動機
この改造ROMを作った人物の動機は分かりかねるが、大々的に流通させなかったことから考えて金銭的利益を求めての行動とは考えづらい。この作品を通して何らかのメッセージを伝えたかったのだろうか(例えば、”人を呪わば穴二つ” =人に害を与えようとすれば、やがて自分も害を受けるようになる)。子供向けゲームに死や呪いといったダークな要素を加えた作者の真意とは一体何なのだろうか。