先日、ヨシノシティ近郊のとある小学校に「テスト中止しないとルギア呼ぶ」との脅迫メールが送られた事件で、送信者がこの学校に通う小学2年生の男子生徒であることがわかった。
学校運営への妨害であることに変わりはないが、SNSでは「センスあるw」「ルギア呼んでみてw」などと面白がる書き込みも見られた。
また、続報として、生徒の家にホーホーが1匹いることが明らかになると、「ホウオウ呼べよw」「もうホーホーでも良いよw」などの書き込みも乱れ咲いた。
テストは予定通り実施されたが、特に伝説のポケモンが現れるなどの事態は起きなかった模様。
タンバ新聞社
「歴代の四天王の中で、仕事の上司にするなら誰が良いか」
先月実施されたこのようなアンケートでは、格闘ポケモンの使い手であるシバが、断トツ首位にランクインする結果となった。
シバといえば、孤高の格闘家として自他共に厳しくストイックなイメージがあるが、人気の秘訣は何なのだろうか。
自由記述欄には、このような理由が挙げられている。
「過ぎたことをネチネチ言わなさそう」
「失敗してもベストを尽くせば褒めてくれそう」
なるほど、確かに四天王戦でのシバは、勝っても負けても潔い。
自分が負けを喫した時は、相手に何の説教もしない武人らしさが見えるのも確かだ。
また、こんな意見もあった。
「仕事をしているかどうかわからないイワークでも2体も雇用してくれている。俺でもクビにされなさそう」
イワークが仕事をサボっているかはさておき、チャンピオンによくあるような、あからさまな実力主義でないことは事実なのだろう。
逆にワースト1位には、キクコを僅差で抑え、キョウがランクインした。理由は以下の通り、なかなかに手酷い。
「惑わし眠らせ毒を食らわせるような上司の元で働きたくない」
「威張ったり小さくなったり風見鶏な感じが嫌。自分が悪いのに痛み分けしてきそう」
これらは全て、キョウのバトルスタイルから来るイメージに起因したものだろう。しかし、本人の人間性によるところもあった。
「自分が必死に悩んでいる時に、ファファファ…なんて言われたらムカつく」
ポケモンバトルと仕事とでは、求められる素養もまた違うのは当然。
とはいえ、トレーナー毎の個性を「仕事の上司なら…」という目線で見ることで、色々と参考に出来たり、はたまた反面教師になることがあるのも事実だろう。
タンバ新聞社
エンジュシティ前に広がる草原を整備してつくられた『オドシシ公園』は、「寺院とオドシシ」という風流な絵面を武器に、外国人観光客へのウケを狙ってオープンされた。
それが、近づくだけでも命がけなハンティング・スポットに成り果てるとは、構想段階ではやはり気付けなかっただろう。
オドシシ公園が正式にオープンした最初の週だけで、エンジュシティおよび近隣の町には常に救急車のサイレンが鳴り響いた。催眠術や怪しい光をかけられて、意識不明となった人が、そこかしこに倒れていたからである。
そう、オドシシ公園でハントされていたのは、オドシシではなく、人の方だったのだ。
なぜこのような事態が起きたのか。
原因は、公園の各所で販売された「オドシシ煎餅」にある。
この煎餅は、オドシシが好むニオイや味がつけられており、当初の構想では、公園の観光客が入り口でこの煎餅を買い、つられてやってきたオドシシに煎餅を与えながら、頭を撫でたり、一緒に写真を撮ったりするという微笑ましい光景が思い描かれていた。
しかし、実際にはオドシシは人間が予想していたよりも狡猾で、お菓子を欲しがっておとなしく媚びるようなポケモンではなかった。
彼らはまず、特性の「おみとおし」を使って、煎餅を持っている人とそうでない人とを判断し、狩り甲斐があるとみなせば、複雑な角の模様を見せて、催眠術や怪しい光で正気を奪ってくる。
そうしてまんまと煎餅を頂いていくのだが、ここで必要以上に抵抗すると、激しく睨みつけて威嚇してきたり、場合によっては驚かしたり、踏みつけてくることもあるのだという。
煎餅売り場には、常にゴールドスプレーが撒かれる装置が置いてあり、オドシシが強襲してくることはないが、強いポケモンも持たずにふらりと訪れた観光客などは、彼らにとって格好の餌食となっているようだ。
具体的な対策が見出されるまで、運営側は、一時公園そのものを封鎖する考えであるとのこと。
タンバ新聞社
Baku、Magma、Arashiからなる3人組のフレアドライブ系音楽バンドBakufoonの単独ライブで、まさかの客席の怒りが噴火する事態が起きた。
今月17日のチョウジ公演で、満足のいくパフォーマンスが行われなかったことが原因だ。
Bakufoonといえば、メンバーの登場と同時に炎ポケモン達が派手な噴火パフォーマンスを行い、客席を熱気に包むことが売りのバンドだ。
演奏中も絶えず噴煙が巻き起こり、火炎放射や炎の渦がステージを彩る。そして客席の興奮が頂点に達する頃にまた噴火、これがたまらなく気持ち良いのである。
ところが、チョウジ公演では最初から何かが違った。
リーダーのBakuが「今日はあまり噴火したくない」とこぼすと、申し訳程度の煙幕がステージを包んだ。
肩透かしを食らって戸惑う客席を尻目に、ライブはグダグタとした進行。炎ポケモン達は時たま電光石火などを披露したが、ファンが期待した噴火パフォーマンスには遠く及ばなかった。
最終的に、客席の苛立ちを感じ取ったのか、Magmaの指示でファンに向けてスピードスターが散布されたが、怒った客席が飛んできた星を手掴みでステージに投げ返し、必ず当たるという性質上、メンバーや炎ポケモン達が星を浴びててんやわんやするという事態にまで及んだ。
噴火パフォーマンスはかなりの体力を必要とするため、いつでも出来るわけではないのは仕方がないことである。
しかし今回の場合、直近で行われたコガネライブでは大量の木炭を惜しげなく使用したド派手なパフォーマンスが行われていたため「地方だからとバカにしているのか」と、より反発を強める形となってしまった。
現在、Bakufoonのメンバー達は反省しており、チケットについては払い戻しの手続きが進められているとのこと。
ポケット芸能ch
「ドーピング検査」といえば、想像するのはポケモンバトルをはじめとした主要なスポーツの大会や、コンテストなどだろう。まさかそんな検査が、高校や大学の受験会場で行われる時代が来ようとは、一体誰が想像しただろうか。
インターネットを介して、一部の受験生の間でポケモン用のバトルアイテムを使用して試験に臨む不正が広まり、横行している。
ホウエン地方のとある大学受験会場において、「スペシャルアップ」を服用している受験生が目撃され、SNSで拡散されたことから事態が明るみになった。
専門家によれば、人間がスペシャルアップを服用した場合、脳神経が刺激され、確かに平常よりもキレよく思考が働くことは否定できないという。
「ようやくバレたか、という感じ。笑」
匿名を条件に、当新聞社の独占取材に応じたQ氏はこう語る。
Q氏も数年前、スペシャルアップを用いて大学入試に臨んだ過去があるという。
「自分も周りも、色々試した。ヨクアタールを飲むと当てずっぽうがよく当たるとか、ねばりのかぎづめを持って行くと集中力が途切れないとか、色々な噂が立ったから」
そう話すQ氏の部屋には、確かにポケモン用の道具の数々が見られるが、Q氏自身がポケモンを育てている様子はない。
「ほとんどの道具は人間には効果がなかった。スペシャルアップがいちばん。あと、こだわりスカーフはやめた方が良い。解答のスピードは上がるが、同じ番号にしかマーク出来なくなる」
試験を行う学校機関等も、現在はドーピング検査で不正の防止に努めているが、正直なところ、万全な対策ではないという。どんな道具が人間に対してどんな効果をもたらすのか科学的根拠から明確になっておらず、検査をすり抜けて不正が行われている可能性は否定できないためだ。
「点数を獲得するために不正行為に手を染め、自身の尊厳を傷付けてしまう。なんとも嘆かわしいことです」
取材を申し込んだ教育者たちは、一様にそう嘆いていた。
不正を行う受験生たちの中には、自らがポケモントレーナーである者も少なくないという。
ポケモンバトルの戦略性を深めるためのバトルアイテム、それを不正のために悪用しようというのなら、彼らを信じて健気に闘うポケモンたちにも、合わせる顔がないだろう。
タンバ新聞社
「カイリキーは空想上のポケモンで、人が勝手に作ったもの。実際には存在しない」
そんな話を学校帰りの我が子から聞いたとある夫婦は、すぐさまポケモン図鑑を見せて「そんなことはない」と子供に教えた。
しかし我が子は「学校で体育の先生が言っていた」と反論してきたのだという。
不審に思った両親が学校側に問い合わせると、既に同様の苦情が複数件寄せられていることが発覚。
同じ教諭が「ゴローニャもフーディンもみんなウソ。ハガネールなんてぶっ飛びすぎてて笑えるレベル」などと、授業中に吹聴していたこともわかった。
無邪気な子供に誤った情報を教えることがあってはならない。事態を重く見た教育委員会が調査に乗り出すと、意外な事実が判明した。
男性教諭は、通信交換によって進化するポケモンがいることを知らないわけではなく、むしろ手持ちにはゴーリキーやゴローン、イワークなどを揃えていたという。ショップで通信交換に必要な機器を買い揃える姿も目撃されており、知識は十分であったはずだ。
それがなぜ、このような嘘を言い回ることに繋がったのか。
教委の尋問を受けた男性教諭は「通信交換できる友達がいなかった。また、そのことを6年生の生徒からバカにされてムシャクシャしていた」と陳述した。
「小さい内から、通信交換なんてないんだと教えておけば、誰も傷つかない優しい世界が作れると思った」とも話しているという。
男性教諭の悔しさも、全くわからないでもない。
しかし、大切なポケモン達が最終形態でないからというだけで引け目を感じ、あまつさえ無邪気な子供達をも作り話に巻き込もうとしたその心にこそ、通信交換の相手が見つからない理由があるのではないだろうか。
男性教諭には訓告処分が言い渡されるが、更生に期待し、減給や戒告は見送られるという。
タンバ新聞社
「ポケモントレーナーとしての経歴がある方は『ポケモントレーナー』とのみ記入してください」
今年度の公務員採用試験の履歴書に、このような注意書きがなされたことをご存知だろうか。
当たり前すぎて何を言っているのかわからないかもしれないが、これは要するに『ポケモントレーナー(短パン小僧)』といったように、どのようなトレーナーだったかまでは書かないようにせよ、という主旨のお達しである。
なぜこのような注意書きが加えられたのか。情報量は多い方が良いと思う人もいるだろう。しかしこれは、トレーナーとしての肩書きによって、多くの企業で書類上での足切りが行われていることを重く見た政府の、率先垂範的な対策だったのである。
「うちの企業は調和を大切にしています。ですので個性が強すぎる人はちょっと…。怪獣マニアの方や、忍者ごっこの方は、ゴメンナサイ」
「火吹き野郎だった過去があることは、一向に構いません。ただ、それを履歴書に堂々と書く人は、弊社には合わないかな、と」
「ワシの会社で募集するのは、おとなのおねえさん!アロマなおねえさん!ビキニのおねえさん!」
これらはいずれも、民間企業の人事担当者から本誌に寄せられた本音である。
トレーナーとしての肩書きによって、かなりの先入観が発生しているのは、どうやら事実のようだ。こういった決めつけは、ポケモントレーナーを経験したことがない人に発生しやすいのだという。
「確かにボクは、海パン野郎として生きてきました」
10代前半から20代後半までを海パン1枚で過ごした男性は、就職活動に難儀しているという。
「それだけ長くやっていれば、ポケモンバトルを通して、色々な厳しさや苦難も経験してきました。海やプールだけじゃない、人生の荒波にだって立ち向かってきたんです。それでも、ボクが海パン野郎だったというだけで、変態扱いして切り捨てる会社が多くて…」
そう語る彼の背中に浮かび上がる羽のような筋肉は、まさしく彼の努力の結晶なのだろう。
今回、政府は自らトレーナーとしての肩書きの記述を廃することで、一定の打開策を示そうとしている。
しかし、真に社会が辿り着くべき境地とは、それがポケモントレーナーであるか否かに関わらず、いかなる肩書きを背負ったとしても、その先に何を見て何を学んだか、それをこそ重視する姿勢なのではないだろうか。
タンバ新聞社
今日は、病に苦しむポケモンや、そのトレーナーさんに良いニュースがあります。
最新の医療学会で、ダイマックス技術を医療現場に応用する研究が始まり、正式に承認を受けたことが発表されました。どのような研究なのかを、簡単にご説明します。
これは、ダイマックスによって一時的にポケモンを大きくして見ることで、複雑な手術をやりやすくしたり、小さな病巣を見逃さないようにすることが出来るといったものです。
今でも、ポケモンセンターでは回復の見込みがない病気を抱えたポケモンたちは手術台に上がることがありますが、数センチの小さなポケモンだったり体の構造が複雑なポケモンなどは手術が非常に難しいことがあります。
小さなポケモンは手術に耐え得るだけの体力がないと判断されることもあり、治療ではなく緩和ケアが選択されることがあるのも事実です。
ダイマックス技術を応用することで、少なくとも、これらの問題はクリアすることが出来ます。
一時的とはいえ、ポケモンは丈夫でタフな体を手に入れますし、医療者たちも、ポケモンが大きくなることで、血管や神経も目で見やすく、扱いやすくなります。「複雑な数学の証明が、計算ドリルに変わるぐらいの違い」であると言われています。
研究チームはこれから、残る課題に向けての対処法を考えていくこととしています。
ダイマックスの効果が永続ではないため、長時間に渡る手術に対応する方法を考えなければならないこと。そして、ダイマックス中は体内の活動が活発になるため、通常より多量の輸血剤や薬剤などが必要になってくるという問題です。
前者についてはガラル粒子を変異させた生体適合性の高い安全な薬剤によるダイマックス持続化研究が進められており、後者については生産や管理・流通の工夫で解決が可能であると見られています。
人類が、かつて涙するしかなかった多くの病を乗り越えたように、ポケモンもまた、明日への希望を繋いでいます。彼らが得た新しい能力は、バトルで闘うためだけでなく、彼らの生涯がより穏やかで幸福なものになるようにこそ、使われるべきでしょう。
心と体の情報局「いやしのすず」
先日、デジタル技術を用いた新しい働き方を模索しているという企業に取材に行った時、若手社員がこのように話しているのを聞いた。「今日はいないと思ったのに、キテルグマ来たよ…」「マジで…最悪」
この会話を聞いた筆者は跳び上がった。キテルグマと言えば、その怪力で悪気なく人をあの世に旅立たせることで有名な恐ろしいポケモンだ。
甚だ報道人失格だが、カメラも放り出して逃げようとする私を変だと思ったのか、件の若手が声を掛けてきて、事態を飲み込むと、こう告げた。
「キテルグマってのは、上司のことです。やたらと団結!とか、チーム!とか、そういう暑苦しいオッサン、オバサンを、僕らはキテルグマって呼んでます。ほら、あれって抱擁で背骨折ってくるでしょ?悪気がないところが似てるっていうか」
なるほど、実際オフィスにキテルグマが出たわけではないらしい。一度はホッとしたものの、これは他人事ではないと思った。先日も若手を集めて派手に決起集会をやったばかり、良かれと思って会を催したが、ひょっとしてキテルグマだと思われていたのか…。
いつの時代も、ジェネレーションギャップとは越え難いものだ。
その後、予定していた当初の話題について、同世代の人事担当者と話をする際、「キテルグマ上司」の話について知っているか尋ねた。
その人は話を聞いて一瞬ムッとした素振りを見せたが、すぐに天を仰いで笑った。
「いやはや、お互い様ですね」
見れば、奥の方で話を聞いていた年配の課長も笑っている。
「僕らは僕らで、若手が放ってくる理解不能な言動を、Zわざと呼んでます。僕らの世代からすれば、もはやなんのことだかもわかりません。けれども、渾身の一撃だったりして、威力自体はけっこう大きいんですよ」
全く、若手もベテランも、仲良くすれば良いではないか。もっとみんなで手を取り合って、同じ宴席でお酒を飲めば…、おっと危ない、これが噂のキテルグマ上司というやつか。
神速ビジネスオンライン
総勢100名もの美少女たちが歌って踊る壮観のパフォーマンス。新規アイドルグループ「MTM100」によるライブ映像だ。華やかなアイドルたちが魅せる一糸乱れぬハイパフォーマンスは、海外でも大注目を浴びているという。
そして何より面白いのが、名のあるポケモン研究の権威たちが、彼女らのファンとして名を連ねていることだ。
それもそのはず、実はこのMTM100、実際のメンバーは10人しかいない。
テレビのトーク番組などに出演するのはこの10人。ステージや配信映像で踊っている残りの90人は、実はすべてメタモンが変身した姿なのである。実際、映像作品を見てみると、同じ姿の女の子達が複数いることがわかるだろう。
ファンの間では、どれが本物のアイドルなのかを見分けることも、ひとつの楽しみになっているという。
「逆に言えば、ファンでも簡単には見分けがつかないぐらいのパフォーマンスを、メタモンがやっているということです」
そう息を弾ませるのは、お茶の間でもよく知られるポケモン博士のウツギ氏。最初はアイドルになど興味はなかったが、実はその大半がメタモンであるという事実を知って、一気に引き込まれたという。
「ポケモンの技であるへんしんとは、せいぜいこれぐらいのものだろうという、研究者側の常識を完全に超えています」
ウツギ氏によれば、海外の著名な研究者たちが見せる反応も、おおかた似たようなものだという。
「見てください、これ。この映像。こないだの全国ツアーの時のなんですが」
まるでアイドルオタクのようにはしゃぎながら、ウツギ氏は映像の再生を始める。
「ここでファンからの声援に応えて、この子が客席に投げキッスしてるでしょ?この子、メタモンなんですよ。ただ単純にアイドルに変身して動きを真似てるだけじゃない。アイドルとしてのスピリッツまで、見事にトレースしてるんです」
研究者たちの間では、もっぱら90匹のメタモンに注目が集まりがちだが、MTMのファンはホンモノの10人の女の子たちに首ったけだ。なぜなら、彼女らはアイドルとしての枠すら超えて、人としても格別の輝きを放っているからだ。
無理もない。MTMのパフォーマンスは、メタモンたちとの絶大な信頼関係がなければ成り立たない。
「彼女らの真似をしていれば間違いない!」とメタモンたちが全幅の信頼を寄せるほどに、彼女らはとびきりのアイドルなのである。もはや周りで踊っているメタモンたちも、彼女らに魅せられたファン1号から90号であるといってよいだろう。
ポケット芸能ch