テレビやweb動画などを見ていると、よく見るCMというものが出てくる。奇抜な内容や独特なフレーズが登場すれば、それが長く記憶に残ることもあるだろう。
しかし中には、それが悪い意味で作用し、人々に拒絶反応を起こされる場合もある。
今シーズン、各放送局には「特定のCMを見たくない」として多くの苦情が寄せられた。いずれも内容が奇抜なもので、視聴者に与えるインパクトが強すぎたものと見られる。いくつかの例を見てみよう。
ひとつめの例は、うがい薬のCMである。
CMでは、大きな口を開けたゴルバットがうがい薬でうがいをし、赤茶色のうがい液を吐き出すというシーンが映し出されるが、これが「吸血した血にしか見えない」として波紋を呼んでいる。
確かに、うがい後のゴルバットの口からは、うがい液がたらりと垂れているし、目が半笑いであることも相まって、おどろおどろしく見えなくもないだろう。
ふたつめの例は、目薬のCMである。
こちらは構成自体はシンプル。デスクワークのしすぎで目が充血したコンパンが、目薬を差してスッキリするというものである。
しかし、コンパンの赤い目をわざわざドアップに拡大し、無数の複眼に目薬が染み渡っていく様子が、あまりにも恐ろしいという。特に「集合体恐怖症」の視聴者にとっては見るに耐えないだろう。
最後の例は、視覚的なインパクトよりも、ストーリーに苦情が寄せられたものだ。
CMでは、ひとりの男性がゴースによってあの世に連れて行かれそうになり、暗闇を逃げ惑っている。
そしてあわや、といったところで「ここからでも入れる保険があるんですか!?」と保険への加入を決めるというもの。一度や二度ならまだしも、人の生き死にをネタにしたCMを何度も見せられるのはたまらないということだろう。
CMは企業にとって、このうえない販促ツールである。それが奇を衒いすぎて逆効果を生んでは、本末転倒というものだ。
同じく奇を衒いがちな当新聞社としては、肝に銘じておかなければならない。
タンバ新聞社
事実は真実の一側面に過ぎない。真実は常に多面体で、我々はその表と裏を同時に見透すことは出来ない。
「悪質ないたずらである可能性が高い」
市井を賑わせている「フォレトスまきびし事件」に関する警察発表に対して、我々は強い危機感を抱いた。本当に、ただのいたずらなのだろうか。
先に本局の考える結論を述べる。この事件は、より大きな陰謀から人々の目を逸らすためのブラフである。
まずは、おさらいから始めよう。件の事件は、街中や主要な道路にフォレトスのモノと見られるまきびしがばら撒かれ、交通や輸送に多大な影響が出ているというもの。そこまで深刻ではないものの、人が踏めば怪我をすることもあり、ここ最近、人々は常に下を向いて歩いている。
なるほど、確かにいたずらかもしれない。誰かがフォレトスを連れ歩き、こっそりとまきびしをばら撒かせて立ち去れば、それだけでこの事件は完成する。
しかし、誰かがいたずらでそんなことをしたとして、一体何の得があるというのか。
ギャラドスの異常個体・通称”赤いギャラドス”が発生した「いかりのみずうみ事件」を思い返してみたい。ちょうどあの頃、世間は「スリーパー児童誘拐事件」への恐怖感でピリついていた。メディアは連日事件のことを報道していたし、大人は子供達をひとりで出歩かせないよう目を光らせた。
当然ながら、雨降りがちでひとけのないいかりのみずうみなどには、誰一人近寄らないような日々が続いた。その間に、ロケット団がまんまと怪電波を流して、湖の生態系に異常を発生させたのである。
今回、フォレトスまきびし事件が発生したことで、人々の目は下に向いている。
となれば、空で何かが行われているのだろうか。あるいは陸路を封鎖する意義がどこかにあるのかもしれない。
ちょうどクヌギダマの体が幾重にも折り重なっているように、フォレトスの体が硬い殻に完全に覆われているように、真実とはそう簡単に看破出来るものではないのである。
報道特集『こころのめ』
「おたくはカビゴンを飼ってらっしゃるの?まあ、それなら食費が大変でしょう」こんな会話を、皆さんも一度は耳にしたことがあるだろう。
ポケモンが家族の一員である以上、その存在が家計や生活に少なからずの影響を与えることは事実だ。しかし昨今、行き過ぎた決めつけに疲れ果てる人が増え、一部で「ポケハラ」と呼ばれて問題化している。
一例を示そう。「ペルシアンを飼っている家庭は貧しい」こんな決めつけがある。不思議に思われただろう。ペルシアンのような上質な猫を飼える家庭なら、むしろ裕福そうではないか。しかし一部の偏見家は、このように決めつけてくるのだという。「おたくの主な収入源は、“ねこにこばん”なのでしょう?」と。
さらに解読が難解な例となると、「ディグダを飼っている家は脱税をしている」などと言われる。もはやワケがわからないが、要するに、見かけ上は小さな家を建てておいて、ディグダに穴を掘らせて地下に豪邸を築き、本来納めるべき固定資産税を誤魔化しているという話だ。
ここまでくると、もはや偏見を通り越して、その想像力で作家にでもなった方が良いレベルだろう。
ポケハラが深刻化しているのは、家計を取り巻く大人の世界だけではないようだ。
一部の子供たちは、ポケハラを受けたことで心に傷を負っているという。とある少年は「キルリアと手を繋いで買い物に行ったら、“彼女がいなくて可哀相”と言われた」と語り、とある少女は「ルカリオが好きと言ったら、“結局イケメンかよ”と罵られた」と語る。
このような問題が顕在化するとは、私たちの社会は堕落してしまったのか。専門家は「必ずしもそうではない」と分析する。
「ポケハラのような問題が起こるのは、ポケモンが単なるペットの枠を超えて、まさしく家族の一員として認知されるようになった証。乗り越えなければならない問題に違いないが、私たちの社会は確実に進化している」と。
少なくとも、たとえポケハラを受けようとも、大切な家族の一員であるポケモンたちに、「おまえのせいだ!」とストレスをぶつけることだけはあってはならないだろう。
タンバ新聞社
歴史を通して長く人はポケモンと共に働いてきた。
建設現場では岩タイプや格闘タイプのポケモンが活躍し、ICやSaaSの領域にエスパーポケモンが起用されることも増えてきた。
これらは全て、ポケモンの得手不得手を考慮したものだ。体力自慢のポケモンは細かい作業は苦手なことが多く、知能に優れたポケモンは膂力には事欠くことが多い。ポケモンと仕事をするうえで、適材適所な人事配置は当たり前の前提だった。
しかし、最先端のビジネスの場では、そんな考えはもう古い。
とある物流会社では、本来長時間労働は苦手であるはずのケーシィたちが、二交代制の24時間体制で物資の運搬にあたっている。彼らは頭が良いので段取りが良く、作業手順を間違えたり忘れたりする心配もほとんどない。
別のITソリューション企業では、どれだけ働いても疲れ知らずのサイドンが、プログラムの保守業務にあたっている。本来、彼らにとってプログラム言語などというものは、暗号を通り越して壁画のような存在だったはずだ。
一体何が起きているのかを説明しよう。
最先端のビジネスシーンでは、ポケモンの苦手を補う「積みバトン」の考え方が当たり前になってきているのだ。
耐久力を極限まで上げた状態で、タフネスに難ありのポケモンにバトンタッチする。知能を最大限上げた状態で、脳筋ポケモンにバトンタッチする。こうすることで、バトンを渡されたポケモンは苦手を克服した状態で強みを活かすことが出来る。
一昔前までは、積みバトン要員の人件費増を嫌って、この考えに賛同しない企業も多かった。しかし、積みバトン要員のアウトソーシング化が進み、手軽に利用出来るようになったことで、人事配置のあり方に劇的な変化がもたらされたのだ。
常識に縛られていると、ビジネスの最前線からは取り残される。
ガオガエンのいる保育園に子供を預け、ケッキングの運転するパンクチュアルな電車に乗って会社へ向かう。
そんな日常も、もはや空想の話であるとは限らないということだ。
神速ビジネスオンライン
消費者庁は今月、自転車販売等を行う「ミラクルサイクル」に対して、販売価格の適正化等を求める行政指導を行ったことを公表した。
ミラクルサイクルといえば、悪路や段差も難なく走行可能なハイスペックな自転車を取り扱っているとして、昔から憧れのブランドとして知られてきた。
しかし、あまりに高い販売価格については批判的な声もあった。いくら自転車が高性能であるとはいえ、純金製の「きんのたま」200個分に匹敵するかどうかは流石に疑わしいのも事実だ。
ミラクルサイクルの自転車を手に入れるために、コガネやタマムシのゲームコーナーに入り浸ってしまう人も後を絶たないという。
また、同店舗に対しては、販売や経営のあり方についても疑問視する声があがっている。
一般の消費者には法外な値段で自転車を売りつける一方で、有望なトレーナーには無償で自転車を貸し出し、広告塔となる代わりに自転車を譲渡するなどの一貫しない姿勢も見られる。
消費者庁は、全ての消費者に対して平等かつ適正価格で自転車を販売するよう改善を求めたというわけだ。
しかしながら、ミラクルサイクル側は挑戦的な態度で行政を挑発している。
勧告内容については「受け入れられない」としながらも「交渉の余地はある」と回答したが、同店舗がその交渉場所に指定してきたのはサイクリングロード。そもそも自転車がなければ足を踏み入れることさえ出来ない場所である。
文句があるなら自転車を買ってから来い、ということなのだろうか。肝の据わった対応である。
消費者庁は今後もミラクルサイクルに対する指導や妥協案を示していく一方で、ランニングシューズのさらなる高性能化への資金提供や、あなぬけのヒモなどの移動手段となり得る道具の購入時にポイントを付与するサービスなど、自転車の代替となる移動手段に対して支援を行っていく模様。
タンバ新聞社
ひとりぼっちのガーディは、元は捨てられたポケモンだった。公園の木陰で鳴いていたところを、心優しいおじさんに拾われたのだ。
小さいけれどキレイなお家、美味しいご飯、暖かい毛布、全てが幸せで満ち足りていた。それは、ひとりで暮らしていたおじさんにとっても同じだった。
「おまえは、私の灯火だ」
おじさんはガーディに「ライト」という名前をつけて、ふたりはいつも本当の親子のようだった。
ライトはたくさんの芸を覚えた。炎を操るのが得意だったのだ。なかでも、自分の体に車輪のように炎を纏わせ、舞って見せるのが好きだった。おじさんも、ライトの成長を我が子のことのように喜んだ。
しかし、幸せな日常は突然に終わりを迎える。
原因不明の火事で、おじさんは天国に行ってしまった。ライトはまた、ひとりぼっちになった。
大切な人を奪った炎を、ライトは忌み嫌い、封印した。野道を彷徨い、雨に打たれ、それでもライトは、もう誰を求めて鳴くこともしなかった。
抜け殻のような、無色透明な日々が長く続いた。
あるとき、街を巨大地震が襲った。建物がガラガラと崩れ、世界が壊れていくのが見えた。
ライトは、ようやく許されたのだと安堵した。
瓦礫の中、ライトの目に幼き少年の姿が映った。大きな傷を負い、少年の目は既に光を失っていた。
そっちじゃない。
ライトは自分の体に車輪のように炎を纏わせ、駆け出した。
壊れゆく世界、暗闇のなか、確かな熱と僅かな光を届け、少年の道標となるために―。
ひとりぼっちだったライトは、その身に再び炎を宿した。悲しみも、寂しさも、愛すべき過去も、その全てを薪に変えて。
ひとりぼっちになった少年と、再び灯火となったライトの、新しい日々が今、始まる。
―――話題の感動作『もらいび』は、実話をベースとした物語である。
制作を手掛けるのは、RGBフィルム。昔ながらのポケモン映画にこだわり、骨太な作品を多く生み出してきただけに、世間の期待値も高い。
実際の撮影には、盲導ポケモンとして活躍している若いガーディが登場する。映画のエンドロールでは、年老いたライトと大人になった少年、そして幼かったライトとおじさんの幸せな日々のフィルムが流されるという。涙なしには見られないだろう。
映画は全国の映画館で来月終わりまで上映される。鑑賞後は、きっと心の中にふわりと暖かい灯火を感じることが出来るに違いない。
ポケモン映画情報『ポケシネマ』
ポケモントレーナーにとっては、ハナダの洞窟と並ぶ「魔境」であるシロガネ山。その麓にお弁当屋さんがオープンしたのは、ちょうど先月頭のことである。
モットーは、「僻地に挑むスタミナ弁当」。厳しい環境のシロガネ山を踏破せんとするトレーナーやポケモンのために、「マグマストーム丼」や「げきりんカレー」など、パワーがつくメニューを多数展開していた。
そんなお弁当屋さんが今月になって早くも撤退したことで、閉店を残念がる声が上がっている。
一部では「客足が見込めないシロガネ山では続くはずもなかった」「仕入れがうまくいかないのか、いつ行っても売り切れだった」と、最初から成功する可能性の低い挑戦だったと評価する声も多い。
しかし、お弁当屋さん撤退の理由は、別なところにあるようだ。
店舗には店長のほか、数名のアルバイトスタッフがいたが、そのうちの1人から証言が得られた。
「お弁当の供給が追い付かなくなったんです。毎日、あり得ない量のお弁当を買っていくお客さんがいて。重さにすれば400kgぐらいになると店長は言ってました」
とんでもない大食漢がいたのか、と尋ねてみると、「そうは見えなかった」とのこと。
「まだ10代でしょうね。色白で、華奢で細身な男の子ですよ。いつも赤い帽子をかぶって。物静かでしたけど、ものすごい強者のオーラがあってビックリしました」
この謎の少年が毎日のように大量のお弁当を買い込んでいくことで、売り切れが常態化することになり、店長は少年の専属になることを決め、店を畳んで山奥に向かったとのことである。
「そいつはきっと、オレのダチだ」そう語るのはトキワシティ・ジムリーダーのグリーン。彼は嬉しそうに、懐かしそうに語った。
「アイツはきっと、手持ちのカビゴンに飯を食わすのに相当苦労してやがるんだ。昔からポケモンバトルに関しては天才的だったが、節約とかいう発想はなかった。レポートは書けても家計簿はつけられないんだ。一時期なんか、手持ちにカビゴンを2匹も入れてやがったんだぜ?正気の沙汰じゃねえよ」
シロガネ山奥に潜む、謎の最強少年。トレーナーからすれば一度はお目にかかりたい存在だが、専属の「スタミナ弁当」をも手にした彼と、果たしてまともに渡り合うことは出来るのだろうか。
夜になると、お月見山の麓から心地良い歌声が聴こえてくる。
月夜に染み渡るような、儚くも美しい歌声。プリンが歌っているのだ。
諸君らも子供の頃、この歌を子守唄代わりに眠りに就いた経験があるだろう。あの歌を聴いていると、我々の意識は遠のき、いつしか眠りの世界へと誘われてしまう。
そう、「眠り」の世界へと―――。
誰もが、何の疑念も抱かずに、そう思っていることだろう。
「我々は、プリンの歌声を聴いて、呑気にまどろんでいる場合ではない」こう語るのは、シオンタウンで脳科学の研究を行っているK氏だ。
とある研究が、恐ろしい事実を示唆しているとK氏は言う。一見耳に心地良く聴こえるプリンの歌だが、音階を数オクターブ下げて逆再生すると、なんと「ほろびのうた」になるというのだ。
毎回必ず、そうなるわけではないらしい。プリンの歌は、プリンの気分次第で曲調が変わるものであるし、個体によっても歌い方が違う。
しかし、一定の条件が揃った時、プリンの歌の逆再生とほろびのうたとの間には、看過出来ない程の共通点が浮かび上がってしまうのだという。
「どうやら、月の満ち欠けが関係しているようである。特に顕著だったのは、この前の月食の時だった」K氏は、幾千ページにも及ぶプリンの歌の観測記録をめくりながら、声を潜めるように語った。
「月は人の心を惑わせると言うが、ポケモンも同じだ。月の光が、知るべきでない真実を暴くこともある」
この研究結果が事実なら、あの歌を聴いた我々が体験しているのは「眠り」ではなく「滅び」だということになる。
柔らかな歌声に包まれて、自身の意識が遠のくのを感じる時、我々の魂はほんの一瞬、滅びの世界に片足を突っ込んでいるのかもしれない。
クロイマナザシweb
ライコウ、エンテイ、スイクン、ジョウト地方各地を風のように駆け抜ける彼らの姿を、たとえ1匹でも見かけたことがある人は、相当な強運の持ち主だろう。
しかしなんと、そんな伝説の3匹の獣が、縦一列に並んで渋滞するという驚きの写真が、とある虫取り少年の手によって撮られたのだ。
場所は35・36番道路。コガネシティの北側、自然公園やエンジュシティ、アルフの遺跡やキキョウシティの狭間に当たる中継地だ。この道路に、偶然にも3匹の獣がひとつところに姿を現した。
虫取り少年は最初、激しい稲光と共に遠方から走ってくるライコウの姿を発見し、慌ててカメラを構えた。
ライコウは一息に道路を駆け抜けようとしたが、この周辺の道路は道幅が非常に狭いうえに入り組んでおり、道中に木が生えていたりして通り抜けが出来ない箇所などもある。そうしてライコウがもたついている間に、オーロラのような冷気を纏ったスイクンが現れ、さらに後ろからは灼熱の熱気を放ったエンテイがやってきたという。
「ライコウが間違えて、木を切らないと進めない道に進んだんです。気づいて引き返そうとしたけど、後ろからスイクンとエンテイがやってきて、渋滞みたいに詰まった」ここぞとばかりにカメラのシャッターを切った虫取り少年は、その時のことをこう語る。
取られた激レア写真は、マニアや研究者の間で大騒ぎを巻き起こした。
「売りに出せば、もはや値段がつけられない程の奇跡的な写真。ただ“彼”さえ映りこんでいなければ」
「すべての写真が、伝説の3獣と“飼い主”みたいになってしまっている。なぜ散歩などしていたのか」
そう、残念なことに、虫取り少年が撮った奇跡の写真には、たまたま近くを散歩していた「ひふきやろう」が、バッチリと映りこんでいたのである。
神々しい3匹の後ろに、独特の髪形と服装で火を噴いている彼がいることで、神秘的な写真がどこかネタ写真になりかけている。
世間の反響を耳にした「ひふきやろう」の当人は、「悪いことをしたかもしれないが、俺もある意味伝説ってことかもしれない」と、飄々とした様子だった。
タンバ新聞社
「平素はポケモンセンターをご利用頂き、誠にありがとうございます。大変残念なお知らせではありますが、当センターでは来年度より全てのサービスを有償化致します」
もしもこのようなメールが届いたとすれば、それは詐欺である。
メールの文面はこう続く。「当センターのご利用が多いお客様には、事前購入が可能な年間パスポートが割安です」と。ここで慌てて年パスを購入してしまうとお金を騙し取られる、という仕組みである。
この詐欺の厄介なところは、メールが本当に居住地のポケモンセンターから送られてくるという点だ。
どのような手口を使っているかは定かでないが、詐欺の犯人は実際に各地のポケモンセンターに赴き、高度な超能力を使えるエスパーポケモン等を使い、メールシステムをハッキングしたり、利用者情報を盗み出している可能性が高い。
つまり、犯人は実際に標的としたポケモンセンターを訪れていると考えられるのだ。
事態を受けてポケモンセンター運営事務局は、早速対策に乗り出した。
それは、各地のセンターにレベル100のフーディンとガブリアスを配置するというもの。
これまでポケモンセンターと言えば、ナースキャップをかぶったラッキーやハピナスが優しい笑顔で出迎えてくれるイメージがあったが、一気に殺伐とピリついた雰囲気が支配する空間となった。
案の定、ネットでは大騒ぎになっている。
「ポケセン行ったらフーディンとガブリアスに睨まれたんだが怖すぎる」
「フーディンで犯人を見つけ出して、ガブでボコボコにするってことだよな…、運営本気出し過ぎだろ」
「全国のセンターにレベル100のフーディンとガブを配置できるって、一体どんな組織なんだよ」
などと、ポケモンセンターの本気すぎる対応に恐れ戦く声が相次いだ。
一部では、「いっそ有償化してくれても良いから、もとのホンワカしたポケモンセンターに戻してほしい」といった声まで囁かれた。
タンバ新聞社