2023/05/30 22:58

ばあちゃんの事

偏屈で有名だったばあちゃんが死んだ。

俺含めた親族は、皆口を揃えて「案外早かった」と胸を撫で下ろしていた。

俺のばあちゃんは、近所でも有名な偏屈ババアだった。

街の外れに一人で住んでいて。
家の周囲、直径10メートル位を有刺鉄線でぐるりと囲って誰も寄せ付けない人だった。
街に出れば、何もないところに向かって怒鳴り声を上げる。虚空に向かって手を伸ばす。

道を歩けば人混みが割れる。そんな人だった。

そんな、偏屈ばあちゃんの遺品を整理に彼女の家に行ってきた。
家の中は思ったより綺麗で。趣味も良かった。
意外だった。

玄関からリビングに入ると、そこにはゴーストポケモン達がいた。

ゴチミルに、フワンテに、ゴースにゴースト、ゲンガーと、それからヒトモシ。

彼らは、身を寄せ合って泣いていた。
侵入者である俺の存在にも気付かない程、しゃくり上げて泣いていた。

暫く呆然と眺めていたら、彼らと目が合った。
何も云えなかった。
俺は、ただ黙って深々と頭を下げて。

それから、何もせずに帰ってきた。

偏屈だ偏屈だと、俺も皆もばあちゃんを邪険にしてきた。
知る努力なんて一つもして来なかった。

あの家を、守れば赦されるのだろうか。

家族面できるような繋がりも持ってこなかったのに。
ばあちゃんが死んでから、話をしたいと思うなんて。
俺は今まで、自分は善人の部類だと思っていた。

彼等とばあちゃんの関係なんて、聞かなくとも分かる。
血よりも濃い関係が、あのばあちゃんにある筈がないと、心のどこかで見下していた。

なんて愚かだったのだろう。

ばあちゃんとは、何度か合ったことがある。
なぜ「どうして?」の一言が言えなかったのだろう。
人を寄せ付けない理由さえ分かれば、分かっていれば。

――一緒に偏屈だと、後ろ指刺される覚悟ができただろうか?

今、俺は

この期に及んで、あの家にいた彼等から恨まれる事を一番に恐れている。
罪悪感より保身が先立っている。

俺は、善人なんかじゃなかったのだ。

俺は、俺は……

どうすれば人に戻れるのだろう

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これから無責任なことを言います、ごめんなさい。先に謝罪させてください。

本当に悪人なら、そうして後悔することも思いやることもできなかったと思います。
ポケモンたちはこちらが思うよりずっと分かってくれてるから、勇気がいるけど最初の一歩さえ踏み出してしまえば、あとはなんとかなるかも。
このままポケモンたちを見なかったことにしてまた後悔するよりも、もう一度会いに行って話をするのが良いのではないでしょうか。その子たちは、きっとあなたが聞きたかったお婆様の話を知ってるでしょうから。
初めは上手くいかないかもしれません、自分じゃだめなんだって思ってしまう時もあるかもしれません。でも必ずその子たちに気持ちは伝わります。人のために泣けるから優しい子たちなんだと思います。
それと、相談できる相手を見つけられるといいかも。もちろんご友人や知人でもいいし、あるいはポケモンセンターのお姉さんやブリーダー、あるいはゴーストタイプ専門のトレーナーの人でも大丈夫ですし、またここに投稿するのもいいと思います。

もしもどうしても自分にはできないなと限界に感じてしまった時は連絡ください。いちブリーダーとして、責任を持って面倒見ます。

この言葉があなたの助けになるかは分からないが、昔小説で見て感銘を受けた言葉を贈らせてもらう。
「Nobody’s perfect」

善人であろうとする必要はない。
あなたがやりたいことをやるのが、きっとあなたのためになる。

良かったです。
ゲンガーたちも、きっとそばに人がいて、誰かと驚かし合ったりして賑やかに過ごしたほうが好きなのでしょうね。
彼らにも話したいことがたくさんあるでしょうから、あなたが待っていたと知って嬉しかったのかも。あなたならゲンガーたちと良い関係になれると思います。

私もゲンガー育ててます。
イタズラ好きで私の足元の影に潜んでは時々人やポケモンを驚かせてるので、もしかしたらそちらの子たちとも気が合うかもしれません。
いつか私も、あなたと、あなたのゲンガーたちと会えたらと思います。

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