岩田
まず最初に、
DSで2作目の完全新作の『ポケットモンスター』をつくろうという話が
どうやってはじまったかをお訊きしたいのですが、
この話は・・・ディレクターの増田さんに訊くのがいいですよね。
増田
はい。もともと自分のなかには「DSで2作目をつくりたい」、
という気持ちが最初からありました。
DSが世界中でこれほどひろがっているわけですから。
岩田
せっかく1億台以上あるんだから、と。
増田
はい。なので、できればひとり1本遊んでほしいと、
そんな大きな野望を抱きながら、今作をつくりはじめました。
岩田
今回、同じDSで出るとはいっても
前作の→『ダイヤモンド・パール』(※3)をつくったときと、
今回の『ポケモンブラック・ホワイト』をはじめたときとでは、
つくるうえでの基本スタンスが大きく違っていたんじゃないですか?
※3『ダイヤモンド・パール』=『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』。ニンテンドーDS用ソフトとして、2006年9月28日発売。
増田
はい。まず、同じDSなので、同じ見せ方をしたのでは
また同じものになってしまうという危惧がありましたので、
そこは非常に意識しました。
スタッフも含めて自分もそうなんですけど、
ふつうの気持ちでつくろうとすれば、
似たような『ポケモン』になってしまうと思ったんです。
岩田
なまじ馴染んでいるからですよね?
増田
そうなんです。
なので、その意識を変えることからはじめました。
岩田
じゃあ、「DSの『ポケモン』とはこういうものだ」という
みんなのなかにあるイメージを、あえてこの言葉を使いますが、
「どうやったら破壊できるのか?」というところからはじまっているんですね。
増田
はい。やっぱりずっとシリーズをつくってきたなかで
考え方が固定してしまっているんです。
「ポケモンセンターに行ってポケモンを交換するのが当たり前だ」とか、
そういう自分たちのなかにある常識を、一度“破壊”しようと思いました。
岩田
『ポケモン』の長い歴史で積み重ねてきた作法とルールを
これを機会に見なおすことにしたんですね。