娘を怒鳴ってしまった。
旅に出るときは、新しくもらう子1匹だけを連れて、初て見る世界を見るとか言いやがった。
たぶん、新しいアニメの影響だ。物語の最初に初めて自分のポケモンを受け取ることにすっかり憧れを抱いてしまった。
娘はモクローと一緒に旅に出るってずっと言っていた。モクローもその気でいて、そのために私のチルタリスやウインディと結構激しめのバトルの練習をして経験を積んできた。うちに来た時のモクローと、私の手持ちとのレベル差、60以上だぞ?そいつらに教えを乞い強くなってきて、進化さえするレベルを超えているのに。今はこっそりかわらすの石を持って、進化しないようにしてるのに。娘だってバトルの練習をするモクローの様子を見てきて、きずの手当さえしていたのに。
なんでモクローを置いていくなんて言えるんだ…私には分からない。もしかしたら、私が怒鳴ったせいでモクローは怒れなかったかもしれない。情け無いながら今気がついたから、モクローには謝ってくる。多分屋根の上でチルタリスの羽に埋もれていると思う。
娘にはウインディがついているから大丈夫だろう。
ああ、昨日の日記がなかったのは、モクローのハンモックの作製に体力を持っていかれたからだ。気にされている方がいるかは分からないが、一応書き残しておく。
じゃあ行ってくる。
屋根の上に見に行ったら、娘とモクローが話してた。
出て行きかけたところをウインディに止められた。
娘はモクローに謝っていた。新しくもらう子と行くなんて言ってごめんね、と。
ずっと同じ事を言葉を変えながらモクローに言っていた。モクローも最初は少しキツめに腕を噛んだりしていたが、程なく噛むのをやめ、目を合わせて話せるようになり、いつの間にやら抱きかかえられていた。しまいには旅に出たらこんな事をしたい、旅でゲットするポケモンとも仲良くね、などと展望になり、モクローも頷いたり鳴いたりと相槌打ちつつ聞いていた。
娘はもうこんなにも相手の事を考えたり、自らを顧みたり、そうすべきと思えたことを行動に移す気概を備えていたのか。
モクローも、いつも変わらないように見えて、信頼をこうもうず高く積み上げていたのか。
見えていないのは私だけだったのだ。
しばらくするとウトウトし出し、1羽と1人はチルタリスに埋もれるようにして眠ってしまった。
チルタリスに手伝ってもらって屋根から降ろしてベッドに横にすると、娘はモクローを抱え直し、モクローは娘に寄り添い直した。
私がモクローと娘に謝れるのは明日になりそうだ。