(あんまり怖くはないかも)
私には妹がいる……はずだったらしい
元々双子で生まれてくるはずだったけど、出産した時に妹の方だけ亡くなってしまったと、私が10歳になった時に両親が教えてくれた
もちろん写真なんてないから、教えてくれた日からぼんやりと、顔は似てたのかな、名前はどんなになってたかな、って考えてた
そしてそこからかなり時間が経って、成人を迎えた私は妹の存在をすっかり忘れてたんだよね
両親も当時は凄く悲しかったみたいだけど、20年も経ったら流石に立ち直って、もう妹の話をすることは無くなってた
それで、私の誕生日の日に実家に帰ってちょっとしたご馳走を食べて、寝るかぁ、と思って電気を消した時だった
急に背筋がゾワッってして、「ナニカ」が部屋にいるのがわかった
怖くて怖くて、でも動いたらもっとダメだと思って、布団の中で怯えながら「ナニカ」がどこかに行くのを待った
しばらくして落ち着いたかな、と思って顔を出した途端に、「ナニカ」に手首を掴まれた
そうしたらさ、声が聞こえたんだよね
「お、ねぇち…ゃ」
「わすれ……な、いで」
私がハッとしたのと同時に、「ナニカ」……いや、妹は消えてしまった
確かに怖かったけど、妹だってことに気づいてからはただただ申し訳ない気持ちでいっぱいになって、朝起きて両親に報告したら大泣きして、私も泣いた
生まれて来ることは出来なかったけど、大事な家族なことは変わりないことを思い出したんだよね
その次の年から、私の誕生日には4人分のケーキを買いに行くのが恒例となりました……とさ
書き忘れてたことがひとつあった
私はまだ小さい時に、公園で遊んでたらフワンテに連れていかれそうになったことがあって、その時に掴まれた手首の感覚が凄く似てるんだよね
だから妹はフワンテになったのかな…って今も思ってる