【独自】相次ぐ高騰―。ポケモンカードの光と影

「本物のポケモンは飼うのが大変。カードだったら買うのは簡単」

そう語る女性はバッグの中から自慢のコレクションを見せてくれた。
1ページに9枚分のポケットがあるファイルには、中央にイーブイのカードが入れられており、周囲をサンダースやブースターなどの進化系が囲んでいる。いずれのカードもキナギタウンの朝日のように輝きを放っていた。

「うちのグラエナの餌を少し安いものに変えちゃったけど、イーブイたちのレアが揃ったから、これで満足かな」

女性はそう語るとカードショップの中に戻っていった。

近年、若者の間でポケモンカードが流行の兆しを見せている。様々な環境で撮影された野生ポケモンの写真やイラストレーターの手によって描かれた生き生きとしたポケモンのイラストが印刷されており、あわせて体力やワザも設定されている。60枚1組のデッキを組み、相手と対戦することができる。
ポケモンを所持できない子供から人気の商品だったが、最近は大人にまでそのブームが広がってきている。

私もカードショップに足を踏み入れてみると、ショーケースの中には多数のカードが並べられていた。ピカチュウやイーブイ、リザードンなどの人気ポケモンは5万、10万はくだらない。重厚なケースに入れられたリザードンのカードは筆者も見覚えがあるもので、なんと100万円の値がつけられていた。実にポケモンカード1枚が自転車1台と同等の値段を有しているのだ。

近頃、ニュースでもポケモンカード絡みの事件が世間を騒がせているのはご存知だろうか。

「カードショップやどきんぐ」にマニューラを連れたトレーナーが入り、そのわるいてぐせを存分に使ってショーケースの隙間からカードを窃盗したのは記憶に新しいだろう。
今月6日には、ポケモンカードの大会で優勝したトレーナーがスリーパーを使って対戦相手をマインドコントロールしていたことが判明し、ポケモン人間愛護法違反で逮捕された。

また、最近はポケモンだけではなくトレーナーの姿を写したカードも人気である。
とあるジムリーダー2名は匿名であることを条件に取材に応じてくれた。

女性ジムリーダー「私の写真が写ったカードにすごい高値がついているのを見て、『えっ、すごいなー』って思ったんですけど、それと同時に挑戦者の方たちに渡している賞金の10倍くらいの値段だって気づくと、ちょっとこれはおかしいんじゃないかなって気がして。私にはジムでいつでも会えるから、カードに大金を出す前にちょっと考えてほしいなって思います」

男性ジムリーダー「自分の写真がポケモンカードになると聞いて楽しみにしていたんですが、カードショップに行ってみたら俺のカードは600円でした。キズぐすり何個分だよって（笑）。そのまま見なかったことにして帰りましたよ」

隆盛を見せればそれだけ影も広がっているのが世の常。
ポケモンカードブームはまだまだ続きそうだ。