島巡りをしていた時の話

私はアローラ地方出身です。ご存知の方も多いかもしれませんが、アローラ地方には島巡りという風習があります。ポケモントレーナーとして旅立ち、4つの島で試練を受けるのです。具体的は、島でキャプテンにより課せられる試練を突破し、ぬしポケモンという通常より大きいポケモンを倒してZクリスタルを手に入れ、最後に島キング、もしくは島クイーンによる大試練を突破すると次の島で試練を受けられるようになります。
前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題です。私は、ウラウラ島で2つ目の試練を受けていました。試練の舞台は、かつてスーパーだった廃墟です。私は1人でその廃墟に入り、何故かいたピカチュウの先導の元、試練を順調にこなして行きました。
廃墟の奥にたどり着くと、部屋の前に人が立っていました。先導してくれたピカチュウはいつの間にかいなくなっていました。廃墟の中は薄暗く、最初は誰だかわかりませんでしたが、よく見ると私に試練を課したキャプテンでした。様子を見に来てくれたのか、と話しかけると、こちらに背を向けたまま「試練は終わりだから出て行け」と言うのです。まだぬしポケモンとも戦っていないのに、それはあんまりだと断ると、出て行くようしつこく言ってくるのです。何度か断ると、突然様子がおかしくなりました。狂ったように「でていけでていけでていけでていけ……」と繰り返すのです。あまりの恐ろしさに一瞬目の前が真っ暗になり、気がつくとキャプテンはいなくなっていました。私はかなりの恐怖を感じつつも、試練を途中でやめるわけにもいかず、恐る恐る奥の部屋へと入って行きました。奥の部屋は、壁や天井に張り紙やポスターなどが雑多に貼られているだけの、何もない部屋でした。そして奥の部屋に入ると、ロトポン(今でいうスマホロトムの前身のようなもの)のポケファインダー(カメラ機能)が勝手に起動したのです。私は思わず腰を抜かしそうになりました。ポケファインダーで周囲を見渡すと、背後に布を被った作りの荒いぬいぐるみのようなポケモンがいました。ロトポンいわく、そのポケモンはミミッキュというそうです。ミミッキュは突然私に襲いかかってきました。私は咄嗟にボールからポケモンを出し、ポケモンバトルでミミッキュを何とか倒しました。そして廃墟から出ると、外で待っていたキャプテンに褒められました。恐怖でぬしポケモンの事が頭から抜けていましたが、どうやら、ミミッキュは廃墟に棲むぬしポケモンだったようです。私はキャプテンに廃墟の奥で起きた一部始終を話しました。するとキャプテンはこう言うのです。「自分はずっと外で待っていたし、廃墟の奥に部屋はない」と。
この出来事のあと、私は原因不明の体調不良に見舞われ、3日間寝込んでいました。回復したあと、もうその廃墟には行きたくなかったのですが、真相を確かめないわけにもいかず、あくタイプのポケモンときよめのおふだを携えて、廃墟に入りました。すると、部屋があったはずの場所はただの壁で、部屋があった痕跡もなかったのです。どういうことなのでしょうか。私が廃墟の奥で見たキャプテンは、そして奥の部屋で起きた出来事は一体何だったのでしょうか。私は恐ろしくなり、すぐさま廃墟から逃げ出しました。