投稿者:しんおうむかしばなし製作委員会
/ 深奥古典研究会
男性
2023-05-26 18:06:22

しんおうむかしばなし 剣客とダイケンキ

昔々、ヒスイと呼ばれた時代のこと、剣客とダイケンキがおった。南からやって来た2人は相棒であり、それでいてお互い剣技を磨き合う仲だった。 ヒスイに来てから剣客達は多くのポケモンと戦った。鉄の殻を持つ竜、恐ろしい形相の化けギツネ、黒曜を踏む蹄。しかし剣客達は敗北し、その度に通りかかった商人や村人に助けられていた。 ある日剣客は他のポケモン使いと戦い勝った。しかしダイケンキの変化に気づいたのだ。 「ケンキよ。その戦い方はどうした。誉高いお前の戦い方はどうした」 「我は気づいたのだ。誉高い敗北よりも、汚くても勝つことが大事だと」 「なんだと、誉こそ武士の誇り、名誉ではないか!」 相対する2人、手には得物を、心には己の信ずるものを。 2人は相棒であり、お互い剣技を磨き合う仲だった。ダイケンキは剣客の全てを知っていたが剣客は全てを知らなかった。誉のない戦い方を知らなかった。 ダイケンキのアシガタナが剣客の胸へと刺さり、返り血が剣を、兜を赤黒く染めてゆく。 「ケンキよ……誉はどこへ…」 膝をつき、今にも事切れそうな剣客に対しダイケンキは言った。 「誉はヒスイで死んだのだ」 骸からアシガタナを抜き、ダイケンキは去っていった。
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