匿名
20歳
女性
2023-04-25 00:45:00

後悔したこと

私は虫タイプが苦手だった。 祖父が育て屋さんをやっていて、幼い頃、初めて譲ってもらったのがヤクデだった。あの時はなんでこんなかわいくないポケモンなのなんて思ったけど、それを正直には言えなかった。足もちょっと気持ち悪いし、何を考えているかわからない。 そこからなんとなくポケモンに苦手意識を持ち始めてしまった。多分、周りの子が持ってるポケモンと比べちゃって劣等感を感じてしまったんだと思う。ヤクデを飼っている手前、他のポケモンを捕まえちゃうと他のポケモンを優先しちゃいそうでそれも怖かった。だから、叔父からもらったヤクデ一匹しか手持ちにいなかったし、そのヤクデすらちゃんと可愛がることもなく。ポケモンという存在からちょっと距離を置いていた。人懐っこいポケモンと目が合うたびに後ろめたい感じがしていた。 ある日、私の事情を知っている友人がチャンピオンカップの観戦に誘ってくれた。なんでもキバナさんのチケットはそうそう取れないらしく「ポケモンじゃなくてもイケメン見る目的で行こう!」って。私は恥ずかしいことにチャンピオンリーグもジムリーダーもあんまり詳しくなかったから、「まあ、イケメンが出てるなら」となんとも最低な理由でOKして観戦することになった。 あの時の情景を今でも覚えている。 確かカブさん、というジムリーダーの手持ちにマルヤクデがいたのだ。ヤクデの進化先が果敢に戦っている。思わず緊張してしまった。そしてキョダイマックスの姿に、鳥肌が止まらなかった。ポケモンって、こんなにかっこよかったんだと。涙が止まらなくなった。確かに大きくなってちょっと姿が変わっただけなのに、こんなにも心が揺さぶられると思わなかった。 戦っている試合を見て、私は試合とは全く関係ない、今までの数少ないヤクデとの思い出を思い出していた。キャンプでカレー作って思ったより食べてくれなくて泣いた日や、友達の真似でポケじゃらししてみても私がビビりまくってお互いに遠慮した日とか。そういうの全部思い出して後悔した。ごめんなさい。君はきっとこのマルヤクデみたいに炎を纏いながらかっこよく活躍できたはずなのに、私がちゃんと接してこなかったから。バトルとかポケジョブとかそういうの避けてきたから。未来を奪ってしまったね。 モンスターボールからヤクデを出してあげて、帰り道わんわん泣いていた。多分、友人はそのマルヤクデが試合に出ることを知っていたと思う。「〇〇はずっとヤクデに優しかったよ、今からでも遅いってことはない」と励まされてより号泣した。友人よ、付き合わせてごめん、ありがとう。 そして、あの日からなんやかんやあって、今日、初めてのジムチャレンジをすることになる。ヤクデがマルヤクデになって他のポケモンもいるけど、凄く緊張する。凄くダラダラ書いてしまったけど、先入観持って苦手意識持つのは良くなかったなという後悔を誰かに伝えたくてここに残しておきます。
\イイね!/
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