世の中いろんな高級食材とかあるけど、何か食べた事ある？味の感想とか興味あってさ
マンドラゴラのピクルスって知ってる? 普段は有毒で薬にしかできないマンドラゴラを丸ごと酢漬けにした見た目も作り方もワイルドなやつなんだけど これがまたすっごく酷い臭いがして耐性がない人が嗅いだら飛び上がって逃げるぐらいなんだけど、これがまた肉料理にめちゃんこ合うのよ、特に脂が滴るステーキ肉なんか最高 食感はカリって言うよりポクッ、ホロホロって感じで揚げた芋に近いんだけど、脂でこってりした口の中にマンドラゴラのピクルスを1切れ食べるとキュッと酸っぱい酢の味の後にまるで高原に来たかのような爽やかさが広がって口の中を洗い流してくれるんだ しかも消化を助けてくれる効能もあるから、どんなに脂っこい料理を食べてもマンドラゴラのピクルスをほんの2切れ食べれば翌日ももたれない ただ、酢に漬けて無毒化するまでに4年とかかかるし、悪臭も年月が経てば経つほど穏やかになるから、元々も安直に手が出せない価格だけど、ヴィンテージのピクルスはそれはもう凄いことになってる でもあれを1度味わうと、ほかの付け合せじゃ満足出来ない体にされちまうんだよなあ〜
高級食材としてドラゴンとかベヒーモスとかの肉が挙げられるが、俺が1番の高級食材だと思うのは【クラーケンの真珠】だな まあ言ってしまえばクラーケンの卵なんだが、一つ一つが赤ん坊の頭ぐらいあるそれを塩ゆでにすると真っ白になって光り輝くんだ。その見た目が真珠のようだからってつけられたんだけどよ、どうやら球体状の膜の中に無数の小さな卵が入っているタイプらしくてな、切り分けて頬張るとプチプチっとした食感と、芳醇なイカの甘みが広がって美味いんだぜ だが元々クラーケンがとんでもない化け物だし、卵を産んだ産後の雌は気が立ってて卵一つを獲るのに海上におびき寄せる係とか海に潜る係とかとんでもない人員を使うから高級食材ってなってるな まあ、その苦労に見合うぐらい美味いし、一攫千金も狙えるから海の男達からは人気の仕事だな! ちなみに俺は冒険者でおびき寄せる係として船に乗ったぜ めっちゃこわかった
はるか東の国の墓所には、夜な夜なこの世に未練を残した人の魂が墓の中から抜け出てて、その未練を探すように薄ぼんやりと光り輝き浮遊している。 それを網で捕まえて、水で溶いた小麦粉にくぐらせて丸揚げにして食うのが東の国の野蛮人である……。 と、昨今まで言われておったが、それらは金魚燈籠と呼ばれる植物が飛ばす種子であると分かった。 金魚燈籠は古来より東の国では死者を正しき道へ案内し慰める花とされており、墓所に多く植えられる為に上記のような誤った伝承が伝えられてしまったのだ。 だが東の人々は商魂逞しく、その種子の丸揚げを「人魂の天ぷら」という名で西方諸国から来た旅行客に食べさせている。 私も話のタネになると思い食してみたが、衣はさくりとしているのに、種子はまるで淡雪のように口の中で溶けて消えてしまうような儚さで、微かに舌に残った風味はゴマに似た香ばしさをもち美味であった。 東の国では金魚燈籠のシーズンである8月にソーメンという白く細く半分透き通った冷たいヌードルと一緒に食べられる季節物ながらとてもポピュラーなものだが、その金魚燈籠が東の国の多湿な気候の中でしか育たない珍しい植物なので我々のような西の人間がそれを食すには長い船旅を経て、8月のシーズンに間に合うようにする他無い。 その土地でしか育たないものを食しに、金と己の時間をかける事も、高級食材と呼ぶに相応しいものではないだろうか。
一度、とある伯爵夫人のお誕生日会でお土産にといただきました「アイソーポス」と呼ばれる高級ブドウが、それはもう甘くてジューシィで、はしたなくも果汁の滴った指まで舐めてしまうほどの天上の美味でしたのよ けれどもそんなアイソーポスの中でも「キツネの一房」と呼ばれる幻の一房があるそうですの それは一年に一度実るか実らないかのもので、その房を判別出来るのはキツネだけなので、その農園では判別用のキツネを飼っているんですって ああ幻のキツネの一房、普段のアイソーポスもあれほど素晴らしいものでしたのに、一体どれほどの美味なのでしょう
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マンドラゴラのピクルスって知ってる?
普段は有毒で薬にしかできないマンドラゴラを丸ごと酢漬けにした見た目も作り方もワイルドなやつなんだけど
これがまたすっごく酷い臭いがして耐性がない人が嗅いだら飛び上がって逃げるぐらいなんだけど、これがまた肉料理にめちゃんこ合うのよ、特に脂が滴るステーキ肉なんか最高
食感はカリって言うよりポクッ、ホロホロって感じで揚げた芋に近いんだけど、脂でこってりした口の中にマンドラゴラのピクルスを1切れ食べるとキュッと酸っぱい酢の味の後にまるで高原に来たかのような爽やかさが広がって口の中を洗い流してくれるんだ
しかも消化を助けてくれる効能もあるから、どんなに脂っこい料理を食べてもマンドラゴラのピクルスをほんの2切れ食べれば翌日ももたれない
ただ、酢に漬けて無毒化するまでに4年とかかかるし、悪臭も年月が経てば経つほど穏やかになるから、元々も安直に手が出せない価格だけど、ヴィンテージのピクルスはそれはもう凄いことになってる
でもあれを1度味わうと、ほかの付け合せじゃ満足出来ない体にされちまうんだよなあ〜
高級食材としてドラゴンとかベヒーモスとかの肉が挙げられるが、俺が1番の高級食材だと思うのは【クラーケンの真珠】だな
まあ言ってしまえばクラーケンの卵なんだが、一つ一つが赤ん坊の頭ぐらいあるそれを塩ゆでにすると真っ白になって光り輝くんだ。その見た目が真珠のようだからってつけられたんだけどよ、どうやら球体状の膜の中に無数の小さな卵が入っているタイプらしくてな、切り分けて頬張るとプチプチっとした食感と、芳醇なイカの甘みが広がって美味いんだぜ
だが元々クラーケンがとんでもない化け物だし、卵を産んだ産後の雌は気が立ってて卵一つを獲るのに海上におびき寄せる係とか海に潜る係とかとんでもない人員を使うから高級食材ってなってるな
まあ、その苦労に見合うぐらい美味いし、一攫千金も狙えるから海の男達からは人気の仕事だな!
ちなみに俺は冒険者でおびき寄せる係として船に乗ったぜ
めっちゃこわかった
はるか東の国の墓所には、夜な夜なこの世に未練を残した人の魂が墓の中から抜け出てて、その未練を探すように薄ぼんやりと光り輝き浮遊している。
それを網で捕まえて、水で溶いた小麦粉にくぐらせて丸揚げにして食うのが東の国の野蛮人である……。
と、昨今まで言われておったが、それらは金魚燈籠と呼ばれる植物が飛ばす種子であると分かった。
金魚燈籠は古来より東の国では死者を正しき道へ案内し慰める花とされており、墓所に多く植えられる為に上記のような誤った伝承が伝えられてしまったのだ。
だが東の人々は商魂逞しく、その種子の丸揚げを「人魂の天ぷら」という名で西方諸国から来た旅行客に食べさせている。
私も話のタネになると思い食してみたが、衣はさくりとしているのに、種子はまるで淡雪のように口の中で溶けて消えてしまうような儚さで、微かに舌に残った風味はゴマに似た香ばしさをもち美味であった。
東の国では金魚燈籠のシーズンである8月にソーメンという白く細く半分透き通った冷たいヌードルと一緒に食べられる季節物ながらとてもポピュラーなものだが、その金魚燈籠が東の国の多湿な気候の中でしか育たない珍しい植物なので我々のような西の人間がそれを食すには長い船旅を経て、8月のシーズンに間に合うようにする他無い。
その土地でしか育たないものを食しに、金と己の時間をかける事も、高級食材と呼ぶに相応しいものではないだろうか。
一度、とある伯爵夫人のお誕生日会でお土産にといただきました「アイソーポス」と呼ばれる高級ブドウが、それはもう甘くてジューシィで、はしたなくも果汁の滴った指まで舐めてしまうほどの天上の美味でしたのよ
けれどもそんなアイソーポスの中でも「キツネの一房」と呼ばれる幻の一房があるそうですの
それは一年に一度実るか実らないかのもので、その房を判別出来るのはキツネだけなので、その農園では判別用のキツネを飼っているんですって
ああ幻のキツネの一房、普段のアイソーポスもあれほど素晴らしいものでしたのに、一体どれほどの美味なのでしょう