嵐の夜に玄関ですごい音がした。慌てて見に行くと右腕の針の先が欠けているスピアーがビードルを守るように抱えていた。恐らく強風で吹き飛んだビードルを助けようとしてここまで飛ばされてしまったのだろう。かわいそうにビードルは震えていてスピアーを助けてほしいと言葉が分からない私でも分かるほどに訴えていた。凶暴だとか毒があるとかそんなことも忘れて我が家で保護した。
その晩は応急処置しかできず、次の日の朝嵐が収まってからポケモンセンターに連れて行った。しばらくすれば目を覚ます。しかし、欠けた針は治らないと言われた。
目を覚ましたスピアーはそれはもう暴れた。息子と遊んでいたビードルが泣きながら止めに入らなければ自分自信をを傷付けていただろう。怪我が治るまでうちにいるといいと説得すると警戒しながらもきのみを受け取ってくれた。
1ヶ月ほど経って怪我が治った頃、そろそろ群れのもとに帰そうかという話が出ていた。そのタイミングでビードルが進化した。息子と果樹園の手伝いで野生のポケモンを追っ払っていたらしい。ならば進化するまでは帰すのを待とうということになった。スピアーはリハビリも兼ねて高い所の収穫を手伝うようになっていた。
更に1ヶ月後、コクーンはスピアーになった。呼び分けるため欠けている子はアン、進化したてをドゥと呼んでいた。今度こそお別れだとその日の夕食は豪勢にした。
アンが大怪我をした。
きのみ泥棒が侵入していた。ほのおタイプを連れていた。圧倒的不利な状況にも関わらず、アンは果樹園を守るために命懸けで戦ったのだ。
あの子はもう、ここをなわばりと決めていたのだ。
これが5年前の話。
アンとドゥはあの後正式にうちの子になった。
うちの果樹園の頼れるガードマンとして大活躍中だ。
息子とドゥの旅立ちを記念して書き込ませてもらったよ。